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今や6人のよど号グループ――北朝鮮に宿泊棟整備

1970年4月に赤軍派9人が日航機よど号をハイジャックして北朝鮮に渡ってから44年。この間、彼らの住む「日本人村」(当初、彼らは日本革命村と呼んだ)の一部が宿泊施設として改装され、4月26日から5月1日まで最初の訪問団(国賠ネットワークメンバーや森達也氏など6人)が訪れた。

今まで彼らの家族以外では2人しか日本人が行っていない村は、平壌郊外の畑や平原が続く山の中にあった。市の中心地・金日成広場からは車で40分以上かかる。

彼らが市内に構えていた4階建ての事務所は、政府に返還した。これを4月3日号で報じた『週刊新潮』によれば「利用価値がゼロになって平壌拠点を追われた『よど号グループ』」。だが、メンバーは「我々は単なる亡命者として受け入れられただけで、利用価値は最初からゼロですよ」と笑う。

事務所閉鎖の理由は、「結婚や出産によって一時期36人にもふくれあがった我々も、いま残るのは6人だけ。経営していた商社や外貨ショップも閉鎖したので、必要がなくなったんですよ」という。

事務所閉鎖と同時に、“村”も使っていた建物のうち半分を返却し、住まい、事務所、食堂、そして訪問客が滞在できる宿泊棟に整備した。大同江の大きな川面を見ながら、ウグイスの鳴く中を、レンギョウやあんずの咲き乱れる道を食堂棟に歩くと、億の値が付く軽井沢の高級分譲地と錯覚する。

森達也氏は今回が初めての訪朝。

「朝、一人でぶらっと街へ出て居住区に入ってみたら、外国人が珍しいらしくじーっと凝視はされたけどそれだけのこと。カメラも自由に回すことができた。外国人も多く、鎖国のようなイメージがあったのですが覆りました」と、北朝鮮の印象を語った。

今後、この村にプレスを含めて積極的に日本人を迎え、生活の場で自分たちの実態を知ってもらいたいというのが彼らの希望だ。

(椎野礼仁・編集者、5月16日号)

「不断の努力」掲げ学生らがデモ

学生のデモ隊。(撮影/オカモトアチキ)

学生のデモ隊。(撮影/オカモトアチキ)

憲法記念日の5月3日、特定秘密保護法に反対する学生たち400人が青空の下、東京・新宿の街中で反対の声をあげた。反対デモを主催した「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」は昨年12月、特定秘密保護法案が可決された後に結成され、今回は同会が主催する2回目のデモとなる。メンバーは約50人。

憲法記念日に、デモを実施したのには理由がある。「日本国憲法の12条には『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない』と書かれています。(中略)私たちは、憲法記念日に、憲法で保障されている権利を行使することによって、憲法をより私たちの物にしていきます」(同会HPより)。

デモ隊は、サウンドカーからHIP-HOPなどの音楽を流し、ラップ調のコールに合わせて特定秘密保護法反対の声をあげたりした。ラップのリズムに合わせて新宿全体がうねりをあげて、躍動をしているかに見えた。

デモに参加した大学生の栗栖由喜さん(20歳)は、サウンドカー上でこう語った。「私は、私自身の自由と権利を守るために意思表示をすることを恥じません。そして、そのことこそが、私の“不断の努力”であると信じます」――。

さあ、声をあげよう。この世に一筋の光を灯せ!! 現政権の暴走に少しずつでもメスを入れていこうではないか。

(白飛瑛子・17歳ライター、5月16日号)

滋賀県知事後継に三日月氏指名――脱原発首長が不出馬

三日月氏の出馬会見に駆け付けた“脱原発首長”嘉田由紀子滋賀県知事(左)。(撮影/横田一)

三日月氏の出馬会見に駆け付けた“脱原発首長”嘉田由紀子滋賀県知事(左)。(撮影/横田一)

関西電力「大飯原発」(福井県)再稼働に反対するなど“脱原発首長”の代表的存在である嘉田由紀子滋賀県知事が5月7日、7月13日投開票の県知事選に出馬しないことを表明した。「再稼働に反対し琵琶湖を放射能汚染から守ってほしい」と三選出馬を求める声が寄せられていたが、嘉田知事は若い世代に委ねる決断をしたのだ。

進退表明の会見には、嘉田知事が事実上の後継指名をした民主党の三日月大造・衆院議員も同席。嘉田知事は不出馬の理由として、ダムに頼らない治水政策が可能となる全国初の「流域治水条例」が成立したこと、知事と三日月氏が共同代表の政策集団「チームしが」が設立される見通しが立ったこと、そして原発政策についても三日月氏と合意ができたことを挙げた。

これを受けて三日月氏は9日、立候補を正式表明。「嘉田知事が培った『草の根自治』を発展させたい。“卒原発”などの原発政策も引き継ぐ」などと訴えた。会見には嘉田知事が駆け付け、途中から三日月氏と並んで質疑応答をするなど全面支援の姿勢を印象づけた。

両者は、再稼働に突き進む安倍政権との対決姿勢も鮮明にした。安倍政権は「世界最高水準の原子力規制委員会の審査基準をクリアすれば、再稼働を認める」という立場だが、これに対し嘉田知事と三日月氏は「プラントの安全審査中心でメルトダウンを前提としたコアキャッチャーもなく、原発事故の際の避難計画策定も再稼働の必要条件になっていない」と不十分さを指摘。その上で、「再稼働には立地自治体に限らず、原発事故の影響が及びうる“被害地元”(周辺自治体)の同意を求める」ことが卒原発政策の核心部分と強調した。

知事選は、嘉田知事の進退表明前からすでに立候補を表明していた経産省OBで原子力ムラの“代表選手”といえる小鑓隆史氏(自民党)と、“脱原発知事の後継者”との一大決戦となるのは確実だ。

(横田一・ジャーナリスト、5月16日号)

今国会で派遣法“改悪”の可能性も――企業重視で派遣労働者増加か

派遣法「大改悪」に反対する日本労働弁護団らの会見。衆議院第一議員会館にて。(撮影/桐島瞬)

派遣法「大改悪」に反対する日本労働弁護団らの会見。衆議院第一議員会館にて。(撮影/桐島瞬)

「世界で一番、企業活動がしやすい国」を目指す安倍首相のもと、今国会で労働者派遣法の改正案が審議されている。政府は、「派遣労働者の均衡待遇の確保」を目的に掲げているが、実際には派遣労働から抜けられなくなる企業重視の「改悪」だという意見も多い。一体、どんな法案なのか。

日本労働弁護団前会長の宮里邦雄氏はこう指摘する。

「改正案の最大のポイントは、派遣会社に無期雇用されている派遣社員の受け入れ期間に、制限を設けていないことです。また、たとえ有期派遣であっても、永久に受け入れを延長することが可能になることです」

現在の派遣法では、通訳業など専門性の高い26業種は派遣期間に制限を設けていない。一方、それ以外の業務で派遣の受け入れが継続して許されるのは最大3年までだ。だが、改正案では26業種の枠を撤廃し、代わりに派遣労働者が派遣会社に無期雇用されているかそうでないかに分けた。

無期の場合には、受け入れ先の企業で無期限に働けるようになる。また、有期契約の同一派遣労働者が同じ職場で働けるのは3年が限度だが、「人を変えさえすれば」、企業は何年でも派遣労働者を受け入れることが可能になる。自社の労働組合から意見を聞けば、3年ごとに延長が認められる仕組みにするからだ。

現行の「派遣受け入れは最長3年」の制限をなくし、企業の派遣労働の利用が増えれば、派遣労働者の雇用が安定するようにも思える。だが、宮里氏は違うと言う。

「派遣労働は最も好ましくない労働形態で、ILO(国際労働機関)も、労働は商品ではないと定義しています。そもそも、派遣法を正当化する根拠は、正規雇用に取って代わる仕組み(常用代替)を作らないということでした。それが次第に業種の範囲も期間も拡大し、今回の改正案では『派遣労働野放し法』になってしまう。これでは派遣労働者の保護はできません」

つまり、本来あるべき雇用形態は、労働者と企業の間で期間の定めを設けずに雇用契約を交わすもの。それが派遣という形に取って代わると、労働者の雇用は不安定になるということだ。

事実、2008年のリーマン・ショックの際には、企業の都合で簡単に派遣切りが行なわれた。また、正社員と派遣社員の間に均等待遇の原則が成り立たない日本では、派遣労働者の給料は格段に低い。今回の派遣法案が成立してしまうと、低賃金のまま生涯派遣を続けなくてはならない土壌を作ってしまう恐れがある。

【「まじめに」働けない】

こうした企業重視の派遣法案に批判の声を上げているのが、労働者保護を叫ぶ弁護士グループや、連合(日本労働組合総連合会)、全労連(全国労働組合総連合)、全労協(全国労働組合連絡協議会)といった組織だ。4月18日には、日本労働弁護団が主催する反対集会が東京都内で開かれ、派遣労働者ら220人以上が集まった。

集会に参加した民主党の山井和則衆議院議員は、「正社員を雇う会社がどんどん減り、いまの正社員さえもいずれ派遣に変えられることになる。安倍首相は賃金を上げると言いながら、派遣を進めるなど、言うこととやることが別です」と、警鐘を鳴らした。

このほか、非正規労働者の権利実現全国会議は、ネット上で反対署名(URL http://haken.hiseiki.jp)を呼びかけ、5月13日現在で4335筆の署名が集まっている。

そこには、次のようなコメントも数多く寄せられている。

「(派遣法改正は)派遣社員の働き方を『他人事』と思っていた正社員と呼ばれる人たちの働き方を大きく変えることになる」「どんなに働いても3年で解雇されるようになれば、まじめに働くのがバカバカシイと考える人が増える」

しかし、国会が自公で圧倒的多数を占める現状では、今国会での法案成立の可能性が高い。日本労働弁護団会長の鵜飼良昭氏は「歴史の流れに逆行する法案をなんとしても食い止めたい」としている。

(桐島瞬・ジャーナリスト、5月16日号)

憲法記念日に全国で“壊憲”反対の声――平和憲法なし崩しへの危機感

大阪の集会。サンバイザーには「守ろう憲法9条」の文字。(提供/永廣紀美子)

大阪の集会。サンバイザーには「守ろう憲法9条」の文字。(提供/永廣紀美子)

「憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認する」シナリオ作りを安倍政権が着々と進める中、日本国憲法が1947年に施行されてから67年を迎えた5月3日、「護憲派」と「改憲派」双方の動きは例年以上に活発だった。

【「募る不信感」】

東京の日比谷公会堂で開催された「5・3憲法集会2014」には約3700人が詰めかけ、屋外には大型ビジョンも設置された。実行委の高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)は集会の冒頭で、「安倍首相は私的諮問機関・安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)で、自らの都合のいいように憲法を破壊しようとしている。これに対し、全国で改憲反対の声が上がっている。この運動は絶対に負けられない」と主張。参加者らはその後、銀座周辺で「生かそう憲法」「輝け9条」などと幕を掲げ行進した。

大阪市内で開かれた「2014憲法記念日のつどい」には約3000人が来場した。主催の「九条の会・おおさか」は「守ろう憲法9条」と記した配布用サンバイザーを2000個用意したが即品切れ。「例年は1000人規模だが今年は違う。参加者の強い“危機意識”が感じられた」と、事務局の永廣紀美子さんは語気を強めた。

京都府の「憲法集会」(憲法9条京都の会主催)も約2300人が結集。参加者の荒井康裕さん(『週刊金曜日』京都読者の会世話人)は「京都ではXバンド・レーダー(TPY-2レーダー、米軍の弾道ミサイル探知レーダー)の配備などきな臭い話があり、軍事強化への懸念が市民間で高まっている」と話す。主催事務局次長の寺内寿さんは「今回は20代の若い人たちの協力も得て運営した。世代を超え、憲法改悪の阻止に向けた活動を続けていく」と、幅広い年齢層に“危機意識”が広がっていることを強調した。

辺野古地区への米軍普天間基地移設や八重山地区教科書問題などを抱える沖縄県の憲法講演会には約1400人が参加し、立ち見が出るほどの盛況となった。主催した沖縄県憲法普及協議会の高良鉄美会長(琉球大学教授)は、全国で「護憲派」の動きが活発化している背景をこう分析する。

「TPP(環太平洋戦略経済連携協定)など外交上の課題にせよ、安全保障上の問題にせよ、一部の人びとの意思で物事がどんどん決められている。民主的な手続きを踏んでいないという不信感が国民の間に募っているのでしょう。

『大事なことはみんなで決めよう』と説くのが憲法の理念であり、これに従い主権者が現在の政局に異議を唱えている。それが今年、各地で盛り上がりを見せた護憲集会の特徴と言えます」

【編集委員も各地で講演】

本誌編集委員も憲法記念日に各地で講演活動を展開した。

千葉県の松戸市民会館ホールで開かれた「松戸憲法記念日の集い」には10代から80代まで1200人を超す市民が参加。登壇した落合恵子編集委員は、「今の政権は平和について憲法について、人権について、(憲法の理念と)まったくちがう方向に走り続けようとしている」として、「一人一人が自分に問いかけよう、“私”にとってももっとも大事なものは何か。かけがえのないものは何か」と熱弁を振るった。

「フォーラム平和・人権・環境」主催の「いま『戦争をさせない』決意を新たに 施行67周年 憲法記念日集会」(東京・千代田区)では、鎌田慧さん(ジャーナリスト)、小室等さん(シンガーソングライター)ほか佐高信・雨宮処凛両編集委員が登壇し、クロストークを繰り広げた。

雨宮編集委員は福一原発事故の被害者との関わりや生活困窮者の実態に触れ、憲法と生活者の間に乖離が生まれていることを指摘。「その溝をいかに埋めていくかが重要な課題」と語った。

宇都宮健児編集委員も、かごしま県民交流センター(鹿児島市内)で開かれた集会(2014年憲法記念日市民のつどい実行委員会主催)に出席。中島岳志編集委員は、神奈川県の「2014憲法を考える5・3県民集会――岐路に立った私たち 岐路に気づかない私たち」(かながわ憲法フォーラム主催)で講演した。

【集会拒否の自治体も】

一方、本誌3月14日号アンテナ欄でも紹介したように、憲法集会の後援申請を、神戸市および神戸市教育委員会が断るという事案も発生している。同委員会は「政治的中立性を損なう可能性」があるとしているが、憲法21条が保障する「表現の自由」を侵害するものではないかとの意見も出ている。

これまで幾度となく護憲や反戦関連の集会を企画してきた柴田正己さん(堺市在住・昭和の庶民史を語る会代表)は、これに近い「不穏な空気」を日々、肌で感じているという。

同地区内の公共施設を利用する際、柴田さんは「自治体側から集会の内容を事前に問われることが増えた」と話す。「戦争や現政権への批判などを題目にすると難色を示される」のだと言う。「こうした状況を胸中では『おかしい』と感じても、ほかの主催者はなかなか口に出せません。苦情を言って、今後の施設利用に支障が出ると困りますから」――。

青井未帆さん(学習院大学教授)は「表現の自由は萎縮効果を受けやすく、もろくてこわれやすい権利」と話す。「地方自治法でも、市民会館のような施設について、正当な理由がない限り利用を拒んではいけないことが定められている。最高裁判決が泉佐野市民会館事件(1995年)で示したように、正当な理由のない利用拒否は、憲法の保障する集会の自由への不当な制限となりうる。自治体側の安易な判断で申請を拒むなどあってはならない」として、「何かを表現するとき度胸を試される社会こそいかがなものか」と首をかしげる。

【民主党議員が「改憲」発言】

安保法制懇(柳井俊二座長)は今週中にも、現行の憲法解釈を改め、集団的自衛権の行使を容認する旨の提言を報告書として政府与党連絡会議に提出する見通しだ。

民主党の海江田万里代表は3日、「立憲主義に照らし、『集団的自衛権の行使は憲法9条違反』だという従来の政府見解の変更は許されない」などと話した。だが遡ること1日の「改憲派」集会では、同党の議員が党の見解を批判する旨の発言をしていたことも発覚している。

新憲法制定議員同盟(中曽根康弘会長)が東京・永田町で開いた「新しい憲法を制定する推進大会」には「民主党改憲派」を自任する長島昭久元防衛副大臣が出席。「解釈変更の閣議決定が出たら、立法府は立法措置をとらなければならない」と力説した。

同大会には改憲派の国会議員や財界人ら約600人が出席しており、船田元衆院議員(自民党)は「国民投票法改正案(「改憲手続き」を規定)の与野党8党合意の枠組みを使い、日本国籍のある改正原案を作っていく」と宣言した。これを受ける形で9日には同改正案が与野党7党(自民・公明・民主・維新・みんな・結い・生活)の賛成多数により衆議院本会議で可決している。

このほか、民間憲法臨調主催の「国家のあり方を問う――憲法改正の早期実現を――」と題するフォーラムも3日に都内で開かれ、先述の船田元氏(憲法改正推進本部長)、百田尚樹氏(作家)、櫻井よしこ氏(同会代表・ジャーナリスト)らが登壇、約1000人が来場(主催者発表)した。

こうした「壊憲」の動きが加速する中、この国の最高法規の生命をかけた「護憲派」の闘いは、正念場を迎えている。

(編集部+取材協力/吉田敬三・フォトジャーナリスト、永野厚男・ライター、5月16日号)

京都に米軍“基地”いらない! 5月中に着工

鉄条網の向こうにレーダー基地が。(写真/たどころあきはる)

鉄条網の向こうにレーダー基地が。(写真/たどころあきはる)

米軍の最新鋭配備「Xバンド・レーダ―」(TPY-2レーダー、米軍の弾道ミサイル探知レーダー)基地が5月中に着工、年内に運用される予定で、予定地の京都府京丹後市では、緊迫の度が高まっている。

京都府最北端の丹後半島、日本海に面する予定地の宇川地区では、すでに有権者の過半数を上回る561筆の撤回署名を集めた。近畿各府県からの支援者も含めて、毎週のように現地調査、学習会、ライブ、サウンドデモなど工夫をこらした運動が活発化している。4月19日に行なわれた、戦前の新興教育指導者、倉岡愛穂墓前祭・偲ぶ会でも、「日本を戦争する国にするな」の声が相次ぎ、半ば決起集会の様相を呈した。

防衛省によれば、工事中は米軍人が7人、完成後は最大160人体制となる。内訳は米軍人20人、軍属が警備と技術者140人で、3交代24時間勤務。そのため、住民からは治安悪化の懸念、特に女性被害への不安感が出ている。

建設予定地は日本海に突き出た経ヶ岬の絶壁に位置し、航空自衛隊経ヶ岬分屯基地の敷地内にある。新設のXバンド・レーダーは、強力な電磁波を発して1000キロメートル彼方のミサイルを探知し、識別・追尾などの機能を持つという。米国外への配備はイスラエル、日本の青森県車力通信所に次いで3番目。平和への脅威はさらに増している。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、5月9日号)

“昭和天皇万歳”集会で――舞の海氏が排外発言

改憲を唱える政治団体が4月29日、東京・明治神宮会館で開いた「昭和の日をお祝いする集い」で、厚労政務官・高鳥修一衆院議員(自民)らを先頭に、来賓と全参加者約250人が起立し、“聖寿万歳”と称し「天皇陛下万歳」を大合唱した。この日は昭和天皇の死去後、みどりの日になったが2005年に昭和の日に法改正。主催団体であるNPO法人「昭和の日ネットワーク」は、吉見義明中央大学教授の従軍「慰安婦」問題訴訟で被告・桜内文城衆院議員(維新)の代理人を務めている高池勝彦弁護士の事務所に連絡先を置く。

“式典”では、竹下亘衆院議員(自民)に続き、田沼隆志衆院議員(維新)が「祝日法に『昭和天皇陛下の誕生日』という言葉を入れると共に、『文化の日を明治の日に、勤労感謝の日を新嘗祭にする』よう、祝日法全体を見直す」とも発言。そのほかの野党では民主党の金子洋一参院議員の名も祝電で披露されていた。

「昭和天皇と大相撲」と題し“記念講演”をした舞の海秀平氏が「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」と語ると、参加者から拍手が湧いた。“日の丸”旗を手にした男性が「頑張れよ」と叫び、会場は排外主義的空気が顕著になった。さらに舞の海氏が「天覧相撲の再開が必要だ。日本に天皇がいたからこそ、大相撲は生き延びてこられた。天皇という大きな懐の中で生かされていると感じる。皇室の安泰を」と結ぶと、大拍手が起こっていた。

最後の拓殖大学吹奏楽部による記念演奏会は“昭和のメロディー”と題されたものだが、「陸軍分列行進曲」「軍艦行進曲」など、軍歌が多かった。天皇のために人々が犠牲となる「海ゆかば」は、筆者を除く全員が起立斉唱していた。

(永野厚男・教育ライター、5月9日号)

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◆舞の海氏の「排外発言」記事についての見解

平井康嗣・本誌編集長

5月9日号の「アンテナ」欄8ページに掲載した記事〈“昭和天皇万歳”集会で 舞の海氏が排外発言〉が5月22日にネット配信されて以後、この記事を非難する声がネット上で広がりました。小社にも意見の電話を3本いただきました。記事の問題点は(1)記事は捏造、歪曲ではないか、(2)「排外発言」の見出しは間違いではないか、という2点になるでしょう。

記事には〈「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」と語ると、参加者から拍手が湧いた〉とありました。この部分に対し、「講演の動画を見ると、排外というよりはむしろ、モンゴル人力士を称える内容の講演だ」「記事は都合よく切り貼りしている」という趣旨の意見がネット上で多く見られました。

確かに記事中の「 」内の発言は、舞の海氏の特徴的な発言を一つにまとめたものでした。それは掲載後に動画で知りましたが、筆者の永野厚男氏が録音していたことも事前に確認しています。当日取材した会場や参加者の雰囲気も踏まえて記事化したもので、意図的な歪曲や捏造ではありません。

永野氏は、「舞の海氏は『相撲を見る人の減少』と『外国人力士が強い』との因果関係(具体的データ)を示しておらず外国人差別とも言える。『相撲ファン減』は2011年の八百長問題発覚など、他に原因がある」とあらためて指摘しています。

「昭和天皇と大相撲」と題する講演で、舞の海氏が「外国人力士を排除したらどうかと言う人がいるんですね」と語ると、参加者から拍手が湧き「先生がんばれ!」という声が飛びます。すると舞の海氏は「これは難しいというか、もう後戻りはできないと思うんです」と答えます。また「今大相撲を支えているのは実はモンゴル人なんですね。モンゴル人がいるからこそ、私たちは横綱の土俵入りが見れる」「そういうことをしようと思ったら外交問題に発展するんじゃないか」と理由を述べています。この点も記述できればより正確な事実を伝えられたと思います。

ただし「これは難しい~」という発言は「排除」の否定なのでしょうか。発言は聴衆の排外的な空気をたしなめているのか、それとも同調しているのか。いずれも道具主義的で政治経済的な理由付けです。氏の発言は「その発言通りですが、もう不可能で、しょうがない」という意味に伝わってきます。私なら「そういった発言はするべきではないし、そうするものではない」と言うでしょう。

そもそも記事の趣旨である「昭和の日をお祝いする集い」について考えないと言葉の意味は伝わりません。主催のNPO法人「昭和の日」ネットワークの役員には石原慎太郎氏や櫻井よしこ氏らも名を連ねています。中国、朝鮮半島に対して差別的・好戦的発言を繰り返している人たちです。最大の差別・排外行為は戦争という殺人行為です。日清戦争、日露戦争に続く太平洋戦争で、多くの日本人や外国人が昭和天皇のために亡くなりました。それを正当化する集会そのものが排外的な意味を帯びています。

集会で舞の海氏が「昭和天皇の崩御時、土砂降りの雨の中、当時の二子山理事長が『傘を取れ』と命じ、力士・親方がズブ濡れの中、頭を垂れて見送った、と聞き胸が熱くなった」などと発言したことについても、取材した永野氏は「1943年の出陣学徒壮行会をビデオで見た時と同様、特攻隊のような感じで、不気味さと恐怖を感じた」と話しています。

「昭和の日をお祝いする集い」の「昭和」は「戦後の昭和」ではなく外国に一歩も譲らない軍国主義時代の戦前の「昭和日本」を想う復古的な集会です。愛国や尊皇、日本人としての誇りも度を超えれば、非愛国者や外国人への差別の正当化や排外につながります。それを助長する集会に舞の海氏は呼ばれ、歓迎され、NHK解説では言えない話で笑いをとります。そのような集会で私は笑えません。「昭和の日、素晴らしいじゃないですか」という“抗議”の電話もいただきましたが、そもそもこの集会に違和感を持たない方に、舞の海氏発言への違和感は共有できないのかもしれません。

また記事見出しの〈排外発言〉について、校了直前に永野氏から〈“排外発言”〉としてほしいと依頼があり、より正確な表現だと納得しましたが、見出しの文字制限で対応できず、結果として読者の皆様への説得力に欠けた点を猛省し、お詫びします。

今後ともより正確な記事の提供に努めたいと思います。

※2014年6月12日に下記を修正しました。
「日清戦争、日露戦争、太平洋戦争など」→「日清戦争、日露戦争に続く太平洋戦争」

※石原慎太郎氏と櫻井よしこ氏は、「昭和の日」ネットワークの前身、「昭和の日」推進国民ネットワークの役員でした。訂正します。 (2014年7月11日)

※来賓と全参加者「約250人」は主催者発表の「約490人」に訂正します。(7月28日)

米軍岩国基地の施設設備に質問状――住民無視で進む移転

2017年に神奈川県厚木基地からの移転を予定する米空母艦載機部隊のために、米軍岩国基地(山口県岩国市)では今、国主導の大規模な施設整備が進められており、移設に反対する地元住民との攻防が続いている。すでに滑走路の移設事業などで3000億円以上の巨費が投じられ、今年は903億円の国費が計上されている。

岩国基地への艦載機移転の話が持ち上がったのは10年前だが、関連施設の建設が遅れ、進まずにきた。しかし2年前、同地域での大規模な住宅開発が頓挫したのに乗じ、防衛省が跡地75ヘクタールを取得。岩国基地から約5キロメートル離れた住宅地のど真ん中にある愛宕山開発跡地に、米兵の住宅や関連施設を造るとした。愛宕山開発は元々、県と市が21世紀の理想の街を作ろうと計画していた。

住民は5年前から、理不尽な行政の扱いに現地で座り込みをするなど抗議の意を示してきた。その愛宕山に国は、新たな懐柔策として市民が使用できる運動施設も併設するという「アメ」をぶら下げ、敷地造成工事の説明会を4月23、25、27日と3回開催した。

地元住民団体「愛宕山を守る会」は説明会に先立ち公開質問状を提出、国は5月2日に「異例の措置」として文書回答をしたが、まったく住民が納得できるような説明はなされなかった。

計画では高級兵士の住宅に加え、野球場や陸上競技場などを予定しているが、具体的な説明はほとんどなされていない。3月で完了しているはずの工事の実施設計は提出期限に間に合わず、6月に先延ばしされていた事実も発覚した。つまり、最終設計が間に合わずの見切り発車だ。

岩国では今年、空中給油機の配備やオスプレイの実質的本土運用の拠点化が進められているほか、17年にはF35B戦闘機の配備が予定されるなど、住民無視で基地機能の強化が進んでいる。

(田村順玄・岩国市議、リムピース共同代表、5月9日号)

日弁連、FC法制化で公開討論――米代表「日本のセブン酷い」

日米のセブン商法の違いについて発言するサイード氏(左から3人目)ら。(撮影/編集部)

日米のセブン商法の違いについて発言するサイード氏(左から3人目)ら。(撮影/編集部)

日本弁護士連合会は4月28日、東京・霞が関の弁護士会館で米国セブン-イレブンシカゴフランチャイズ加盟店協会のハシム・サイード代表をゲストパネリストに招き、「米国におけるフランチャイズ(FC)法制から学ぶ日本のあるべきフランチャイズ法制」と題する公開討論会を開いた。3月に岡山県労働委員会(宮本由美子会長)が「セブン店加盟店主は労働組合法上の労働者に当たる」との画期的な判断を出したこともあり、全国のセブン店経営者を中心に独占禁止法研究者、弁護士、セブン本部関係者など約110人が参加し関心の高さを示した。

パネリストは、ハシム・サイード氏のほか早稲田大学の岡田外司博教授(独占禁止法)、中村昌典弁護士(日弁連消費者問題対策委員)、三井義文コンビニ加盟店ユニオン執行委員。中野和子弁護士が進行を務めた。初来日したサイード代表は、日本の加盟店主が仕入れ商品の請求書・領収書を開示されない事実を聞かされ、「日本のセブン本部がそんなに酷いとは信じられない。アメリカでは直接サプライヤーからもらい、中身を確認して本部にまわす」と“驚きの事実”を明かした。契約更新について、三井氏が「配送車の音が深夜うるさいので、ちょっと離れた場所に駐車してもらったら『ドライバーを危険にさらした』との理由で(本部から)更新を拒絶された」という例を挙げると、サイード氏は「アメリカで25年やっているがそんな理由は聞いたことがない。それより拒絶した場合、本部が営業補償を出すぐらいだ」と述べ、日米の違いを際立たせた。

岡田教授は、「サイードさんの証言を聞き、請求書・領収書の件など日本でおかしな事がアメリカでは当たり前に実現している。やはり、会計、契約更新、本部との団体交渉などをフランチャイズ法(の立法化)で検討する必要があるのではないか」と話した。

(渡辺仁・ジャーナリスト、5月9日号)

3人銃殺の容疑者はKKK元幹部の白人男性――米国で会員増やすヘイト団体

白人至上主義組織「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元幹部が、無差別にユダヤ系住民を殺害しようとしたとみられる発砲事件が4月13日、米中部カンザス州オーバーランドパークのユダヤ系施設2カ所で発生した。

事件が起こった日はユダヤ教の祝日「パスオーバー(過ぎ越しの祭)」の前日。同地域のユダヤ系地域センターには多くの若者が集まっていた。ここに車でやってきたKKKの元幹部フレイジャー・グレン・クロス容疑者(73歳)は、駐車場で69歳の男性と14歳の少年に発砲。その後、そこからさらに車を走らせ、2キロメートル離れたユダヤ系高齢者介護施設の駐車場で53歳の女性に発砲した。この事件で3人は死亡。地元のKMBCニュース局は、近くの小学校で取り押さえられた同容疑者は「ヒトラー万歳」と叫んだと報道した。だが、いずれの犠牲者もユダヤ系住民ではなかったという。

人種・宗教・性的指向などに基づき差別・憎悪を扇動するヘイト団体を調査する人権擁護団体「南部貧困法律センター」によると、クロス容疑者はミラーの別姓をもち、過激思想を持つ人物として危険視されてきたという。同容疑者は1970年代に、父親の影響で反ユダヤ主義に傾倒。当時米陸軍に所属していたが、その危険思想ゆえに除隊させられている。

その後80年代には、米ノースカロライナ州でKKKカロライナ支部と白人至上主義組織「ホワイトパトリオットパーティ」を結成。この頃から活動は次第に過激化し「白人の団結」を掲げ、アフリカ・ユダヤ系住民を攻撃の対象としていった。後に大量武器不法所有などにより、連邦刑務所で3年の服役。出所後には自叙伝を出版し、反ユダヤ思想を掲げてミズーリ州で連邦・州議員選に出馬もした。

【オバマ当選後、差別拡大】

現在、「南部貧困法律センター」が挙げるアクティブな米国内のヘイト団体の数は939。中でも同センターが注視するのは、ネオナチ、KKK、アーリアン・ネーションズなどの白人至上主義組織だという。クロス容疑者が支部リーダーだったKKKは、1865年に結成された米国最古のヘイト団体。三角白頭巾を被り、火のついた十字架を掲げて街を歩く姿は、白人至上主義の象徴として恐れられた。だが、1920年代をピークに400万人いた会員は減少し、現在は数千人と言われている。かつて隆盛を極めた白人至上主義集団の多くも、小規模組織に分裂し全米に散らばってしまった。

しかし、2009年のオバマ大統領の就任以来、各組織は再び会員数を伸ばし始めている。長引く経済不況、移民の流入、白人がマジョリティの座を追われるのではとの不安などが背景にあるようだ。

かつてヘイト団体は、KKKのようにその特徴的な出で立ちで人々を恐れさせた。だが、今はインターネットを利用し、自宅から顔を見せずにヘイトサイトに投稿して、憎悪感情を煽ることが可能となった。投稿者側は、米憲法修正第一条の「言論の自由」を盾にとり、憎悪感情を煽る書き込みは「フリースピーチ」だと主張している。クロス容疑者もネオナチ系サイト「バンガード・ニューズ・ネットワーク」会員で、1万2000以上の投稿をしたという。

ヘイトサイトの中でも今、「南部貧困法律センター」が最も危険視するのは、元KKKリーダーが立ち上げた白人至上主義の世界最大のネット掲示板「ストームフロント」だという。会員数は28万以上で、年10万ドル(約1020万円)の寄付を集める。ホームページには「敵に包囲された白人マイノリティが意見を述べる」とある。3月発表の同センターのレポートでは、過去5年間で同サイトの会員が起こしたヘイトクライムの犠牲者は100人に上るという。

米連邦捜査局(FBI)は、過激ヘイトクライムの単独犯を「一匹狼」と呼び、国内テロリストと位置づけている。簡単に銃を所有できる米国で、過激派一匹狼の差別や憎悪による犯罪を防ぐ手だてはあるのか疑問だ。

(マクレーン末子・在米ジャーナリスト、5月9日号)