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着陸帯の建設工事再開は停止――沖縄高江で住民が抵抗

 沖縄防衛局は一〇日夕方、垂直離着陸輸送機オスプレイの訓練施設建設を予定している沖縄県東村高江地区の工事現場に工事用重機を強行搬入した。地元紙『琉球新報』によると、同日は職員約五〇人を動員し、現場に通ずる進入路二カ所に軽トラック三台を横付けした。

 県では知事と県議会、県内四一全市町村長・議会すべてがオスプレイ配備反対を表明。来月五日には配備反対県民集会が予定されているなか、全県あげての配備反対の世論に挑戦するかのような今回の沖縄防衛局の動きに、県民の怒りが高まっている。

 米軍は県内最大の基地である北部訓練場内に、高江地区を取り巻くように六カ所のオスプレイ訓練用パッド(離着陸帯)の建設を計画。二〇〇七年からは地元住民を中心に工事現場への建設機材持ち込みを阻止するため進入路手前での座り込みが続いており、これまで何度か工事を強行しようとする防衛局側との衝突が起きている。

 工事自体は、三月から六月まで建設予定地付近に生息する特別天然記念物ノグチゲラの営巣時期のため中断されていたが、今回は不意を突いて工事再開に向けた同防衛局の動きが始まった形だ。一七日現在、住民側は進入路手前に鉄パイプで骨組みを作ったため、工事は再開されていない。

 今回の背景には、八月中に普天間基地へのオスプレイ配備を完了したい米海兵隊にとって、運用上、北部訓練場のパッドが不可欠になっている事情がある。防衛省も米軍の意向を配慮して、工事を再開させようとしているのは間違いない。野田佳彦内閣は、全県民を敵に回しても米軍のためだけにオスプレイ配備に協力しようとしている。

『琉球新報』は一二日付の社説で、「着陸帯の整備は、米軍普天間飛行場を拠点とするオスプレイの配備環境を整えることに直結する」と指摘し、「着陸帯の建設工事は中止すべき時を迎えている」と論じた。オスプレイの配備が強行されれば、次に本土各地での低空飛行訓練が始まる。高江の住民の闘いは、全国的な支援が求められている。

(成澤宗男・編集部、7月20日号)

ヒカリエ開業に沸く東京都・渋谷区――予告なしに野宿生活者を排除

災害時の一時集合場所とされ、囲いを張られた東京都・渋谷区美竹公園。(撮影/西村仁美)

 東京都渋谷区は美竹公園と、同区役所下にある駐車場、区役所前の公衆トイレの三カ所を、六月一一日に封鎖した。前二カ所については何の予告もなく、災害時の一時集合場所としての整備や区の記念事業の植栽整備など公共工事がその名目だ。野宿生活者にとっては、体を休められる貴重な場所。美竹公園や区役所駐車場を拠点に長年炊き出しをやって来た「渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん)」の黒岩大助さんや「聖公会野宿者支援活動・渋谷」の楡原民佳さんは次のように言う。「渋谷区と東急グループによる官民一体の野宿者、貧困者排除が今回の一連の『追い出し』の本質だと思います」「近くの公園に移った人たちは、公園管理者からブルーシートなどで寝場所を作ることを禁じられました。完全追い出しの状態で、人の命をなんだと思っているのか」と憤りを隠さない。

 美竹公園の野宿生活者のテント小屋やのじれんの炊き出し道具用の倉庫を対象に区は庁舎内に「告示」を出し、六月二〇日より行政代執行に向けた手続きに入っている。

 弁明機会付与通告書の期限である七月一一日、対象のテント小屋を所有する野宿生活者たちとのじれんは区長宛の弁明書を区に提出。同時に、六五五名五七団体の賛同署名を連ねた抗議声明を提出。

 渋谷区の伴秀樹経理課長は「人工地盤下(駐車場)は庁舎の一部。『閉鎖』についてそこで寝泊りする人たちにいつ工事しますから、とこちらが言うことは、彼らがあそこにいることを認めることになってしまいますから(必要はない)」と、また同吉武成寛公園課長は、「今、不法に占拠されている状態が前提にあるとは思います。ですが、行政代執行はなるべくなら避けたいと思っています」と話す。

 いまだ「出口」の見えない状況が続くが、わかっているのは、野宿生活者の命をつなぐ場所が、今また危機的状況あることだ。

(西村仁美・ルポライター、7月20日号)

ワタミ、東電など10社ノミネート――ブラック企業を世に!

 劣悪な労働環境を社員に強いる「ブラック企業」。その実名を世に広く知らしめる初の試みについての説明会が、七月九日に厚生労働省内の記者クラブで開かれた。

「ブラック企業大賞2012」と冠されたこの賞は、労働組合、弁護士、NGO、NPO、ジャーナリストからなる実行委員会の推薦により挙げられた約五〇社の中から、過去数年の間に労働問題で行政処分や司法によって裁かれた一〇社がノミネートされている。

 ノミネート企業には、「ワタミ」「ウェザーニュース」「すき家(株式会社ゼンショー)」「SHOP99(現ローソンストア100)」「すかいらーく」「フォーカスシステムズ」「陸援隊、ハーヴェスト・ホールディングス」「丸八真綿」「富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ」「東京電力」の名前が挙がっている。各企業が選ばれた理由はさまざまだが、過労死、残業代の不払い、巧妙なリストラ工作など、内容的にも悪質さが際立つ。

 実行委員の一人で首都圏青年ユニオンの書記長を務める河添誠氏は「最近の若い人からの相談で多いのが、会社を辞めるに辞められないということ。一方で若い人の離職率は高い。一見、矛盾するようだが、理由がある。過酷な労働条件の中、本当は会社を辞めたいが、失業しても充分な失業給付が受けられない。非正規雇用では職業的なトレーニングを受けるチャンスが完全に奪われ、将来の展望が望めないから、ギリギリまで正社員としてしがみつくしかない。それでも離職率が高いのは、それだけブラック企業が多いということでもある。ブラック企業と非正規雇用の問題はちょうどコインの裏表、一体の問題」と述べた。

 大賞は、七月二八日に田町交通ビルで行なわれる授賞式で発表される。当日は授賞式の後、実行委員会のメンバーによる「ブラック企業にだまされるな!」と題したシンポジウムが開催される。実行委員会のウェブサイトでは、一般投票も受け付けている。詳しくは http://blackcorpaward.blogspot.jp/

(頓所直人・フリーライター、7月20日号)

「原発フィクサー」裁判――田中記者側が反撃開始

 原発警備会社ニューテック社元経営者・白川司郎氏がジャーナリスト田中稔氏に対して起こした名誉毀損訴訟の第二回口頭弁論が、七月八日、東京地裁(吉田徹裁判長)であり、田中氏側の反撃が本格的に始まった。

 田中氏が陳述した準備書面によれば、白川氏は東京電力の荒木浩元会長や勝俣恒久前会長、仙谷由人民主党政調会長らと交流があり、原発警備やリース、建築など複数の原発関連企業を経営。過去には暴力団に出版妨害を依頼したり、土地転がしで得た巨利の一部を政治家に流すなどの疑惑が報じられたこともあったという。

 また、白川氏と縁の深いニューテック社に西松建設が四〇億円を「融資した」。正確な時期は不明だが、同社は二〇一〇年五月、白川氏が住んでいる東京都渋谷区の豪邸(日本テクサ社名義)に四〇億円の担保を設定。担保は、設定から一年たらず後の昨年五月半ばに抹消。返済したことになっている。

 登記簿謄本によれば、昨年一〇月、同じ担保を使ってニューテック社は新銀行東京から七億円の融資を受け、二カ月後に返済。今年一月、今度はりそな銀行から同様の方法で四億円の融資を受けた。担保の豪邸には〇五年に東京都民銀行が極度額一九億円の根抵当権をつけたが、今年一月、金額を一〇億円に変更する登記がなされた。

 次回弁論は九月三日午前一〇時四五分、東京地裁六一五号法廷で開かれる予定。

(三宅勝久・ジャーナリスト、7月13日号)

一つ星レストラン「千の花」――給与不払いのまま閉店

『ミシュランガイド東京・横浜・湘南 2012』(日本ミシュランタイヤ)で一つ星を獲得した「宮廷焼肉 千の花」(東京都港区台場)などを経営する「株式会社千の花」(港区三田・菊地与一代表取締役)で、三カ月以上も給与不払いが続いている。

 六月に従業員からの相談を受けて、会社に交渉を申し入れている労働組合・東京ユニオン副執行委員長の関口達矢さんによれば、今年二月から従業員の給与が遅配または欠配するようになり、四月以降は、全員欠配の状態。一二人の組合員の残業代を含む未払賃金の総額は約二〇〇〇万円、基本給だけでも約一〇〇〇万円にのぼる。家賃や業者への支払いも滞っていることを確認しているという。

 韓国の留学生のアルバイトを含め最大時八〇人ほどいた従業員のほとんどが、給与が支払われないまま、正式に解雇もされずに、店舗閉鎖により職を失ったとみられる。現在、組合員のほか従業員が多数、三田・中央労働基準監督署に賃金不払いの申告を行なったが、同社経営の別店舗の営業が継続しているため、「未払賃金立替払制度」(労働基準監督署が窓口になって、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、国が未払賃金の一部を立替払する)は利用できずにいる。

 東京ユニオンの関口さんは、「未払賃金のほかに、業者や各種保険料の未払いも合わせると、未払いは一億円以上にのぼるとみられる。法律通りに賃金を支払えないのであれば、労働者が未払賃金立替払制度を利用できるよう、社長は早急に破産・清算・民事再生など法律上の破産手続きをとるべきだ」と語る。

(清水直子・ライター、7月13日号)

防衛省作成のパンフレット――オスプレイの記述に誤認

 米軍が沖縄への強行配備を狙っているオスプレイの安全性に関し、防衛省が作成したパンフレットに重大な誤認と見られる記述がある。

 沖縄県の各自治体などに配布されている『MV-22オスプレイ 米海兵隊の最新鋭の航空機』と題したこのパンフレットでは、「飛行中に両方のエンジンが故障した場合、オスプレイはどうするのですか?」という質問に対し、「垂直離着陸モードに移行してオートローテーションを行うことになります」と回答している。

「オートローテーション」とは、飛行中にエンジンが停止した場合、風力だけで回転翼を回して着陸する機能。米海兵隊の準機関紙『マリン・タイムズ』は二〇〇七年一〇月一四日号(電子版)で、同年に米『タイム』誌がオスプレイについてこの機能がなく「欠陥機」と批判したことに対し、「オートローテーション機能はヘリコプターの標準整備で、オスプレイはヘリコプターではない」という海兵隊広報部の「反論」を掲載しているが、機能がない点は認めた形だ。

 事実オスプレイは、このために米連邦航空局(FAA)が定める飛行の安全性を確保する基準(耐空性基準)を満たしていない。軍用は可能だが、回転翼の長さがヘリコプターの六割程度しかない半面、自重が二倍近くあるので、「オートローテーション」で着陸する構造ではなく、事故時の安全性が最初から期待できないのは自明だ。

 防衛省は「オートローテーション」の有無に関する本誌の問い合わせに対し、「米国防総省と協議してパンフレットを作成した」としか回答していない。独自に事実関係を調査してみるべきだ。

(成澤宗男・編集部、7月13日号)

傍聴申請者リストを警察に!?――保安院に質問状

 国際環境NGOのFoE Japanや福島老朽原発を考える会、原発を考える品川の女たちの市民三団体は一〇日、経済産業省の枝野幸男大臣と原子力安全・保安院の深野弘行院長に対し、保安院が意見聴取会への傍聴申請者リストを警察に渡したとされる疑惑について、質問状を提出した。

 この疑惑は、市民の視点から映像ジャーナリズムの活動を続けている「OurPlanet-TV」が七月二日に開かれた保安院の意見聴取会で、一般傍聴者が別室での傍聴を強制された問題について、小林勝室長に取材した際に表面化したもの。

 同室長は収録されたビデオで、「警察の方には、いつも傍聴人の方の、どういった方が来るかっていう相談をするんですが、そこでは警備の都合上、やっぱり分けていただけないかというようなこともあったんで。夕べ判断しました」と発言。さらに、「傍聴人の方のリストを見て」「判断させていただきました」とも述べている。保安院は傍聴希望者に対し、事前に氏名を記入させる手続きを課しているが、同室長の発言から保安院が警察との「相談」の際、恒常的にリストを見せていることが窺える。

 このため質問状では、「警察への情報提供は、個人情報の目的外使用」で個人情報保護法違反であり、「国民の基本的な権利である『知る権利』に対しても大きな制限が加わる可能性を否定できません」と強く保安院を批判。さらに、(1)警察と共有している情報の内容(2)「相談」にあたった保安院・警察両者の氏名(3)「相談」の具体的内容――等の点について、七月一七日までに回答するよう求めている。

(本誌編集部、7月13日号)

想定外に膨れ上がる官邸前デモ

「再稼働反対! 再稼働反対!」。7月6日の官邸前。金曜デモには雨にもかかわらず、またまた多くの人が声を上げた。主催者発表で15万人(警察発表2万1000人)。今では全国から官邸前にやってくるようで、山口県からは「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の清水俊保代表(写真左)の姿も。ただ今回は過剰ともいえる警備体制が敷かれた。官邸を望む場所のほとんどを警察は封鎖、参加者は細く長い列に並ぶよう強いられた。最寄り駅の地下鉄国会議事堂前駅は出口を1カ所に制限(写真上)。デモ終了時刻になっても地上に上がれない参加者も大勢いた。

(編集部、7月13日号)

陸自が「災害対処」名目に都内で訓練予定――区議、住民らが防衛省に抗議

対応した職員を問いただす住民ら=7月10日・防衛省。(撮影/片岡伸行)

 陸上自衛隊が再び物議を醸す大規模訓練の実施を東京都内で計画している。七月一六日夜から翌一七日朝にかけて、都内二三区内の都立公園や区役所に迷彩服を着た部隊が展開するというもので、都内全域に及ぶ自衛隊単独での部隊展開は初めて。訓練の中止を求める日本平和委員会の佐藤光雄代表理事と二三区の区議、住民ら約二〇人は一〇日午後、防衛省を訪れ、訓練の中止を求めた。

 展開訓練を実施するのは陸自第一普通科連隊(東京・練馬区)。同隊については先月一二日、朝の通勤・通学時間帯に練馬区などで迷彩服で武装したレンジャー部隊の行進訓練を実施し、周辺住民から中止を求める申し立てが裁判所に出されたばかり。今回の計画によると、約三一〇人が迷彩服着用で一六日午後七時から順次、練馬駐屯地を出発、翌一七日午前にかけて駒沢公園や上野公園、水元公園、舎人公園などの公園や各区役所へ向けて行進する。「災害対処」が名目だが、都民の参加はなく自治体もほとんど関与しない。

 同日は、防衛省運用企画局事態対処課の職員は質問に答える形で「首都直下型地震に対応する訓練で、自治体と連携し実施するもの。住民への周知も自治体にお願いした」などと説明。これに対し住民側は「嘘を言っては困る。連携を拒否している自治体もあり、住民の参加もない。周知もされていない。北区はお断りした」などと抗議した。二三区のうち一三区が今回の訓練受け入れを拒否しており、防衛省側は返答できなかった。

 佐藤代表理事は「自治体や住民抜きの災害対処などあり得ない。これは防災の名を借りた軍事訓練だ」と述べ、同行した種田和敏弁護士も「自衛隊法では、災害出動は関係自治体からの要請が前提となる。今回のように自衛隊が単独で周知もせずに実施することになると、自衛隊法の建前に反するのではないか」と疑問を呈していた。

(片岡伸行・編集部、7月13日号)

汚染防ぐ「難透水層」は本当にあるのか――豊洲の土壌“安全神話”に疑問

東日本大震災で液状化した東京都・豊洲の新市場予定地。(2011年3月13日撮影/編集部)

 東京都の築地市場の移転先である豊洲地区は、環境基準の四万三〇〇〇倍のベンゼンが検出されるなど土壌汚染が深刻だが、地下数メートルに二~二〇メートルの厚さで連続し、汚染の地下深くへの浸透を防いでいると都が主張してきた粘性土の難透水性の地層(以下、難透水層)に、「ザル」同然の疑いがあるとわかった。

 一級建築士・水谷和子さんは、都が豊洲の汚染調査のために行なった全一三三八区画のボーリング調査の柱状図を調べた。柱状図とは直径一〇センチ弱の円筒を土中に打ち込み、土壌を採取して砂や粘土などの地層を記録した図面だ。

 その結果、七〇センチ程度しか離れていない近傍の柱状図同士の難透水層の上端が、自然の傾斜と見なしにくい四〇センチ以上ずれていたのが七九区画あった。最大では四・七メートルも食い違っていた。これは、難透水層が不連続で、穴があいている可能性を示す。

 また、二七八区画は環境省のガイドラインが難透水層の要件とする厚さ五〇センチに満たず、最も薄い所では二センチしかなかった。

 だが、東京都中央卸売市場新市場整備部の安部毅・基盤整備担当課長は、「ボーリング地点は、全く同一地点ではないのでずれていても不思議ではありません。また、二七八区画のボーリングは難透水層の厚さを調べるのではなく、汚染調査が目的で、難透水層に当たれば止めているので五〇センチ未満があるのも当然です」と述べた。

 これに対し、水谷さんは「都のボーリング調査は、二八七区画で五〇センチ以上の難透水層が本当にあるのかを確認していない事実は変わりません」と反論した。

 そもそも、都が難透水層の確認のために行なったボーリング調査は約三七ヘクタールもの広大な豊洲の新市場予定地内で合計七〇本にすぎない。この程度でなぜ難透水層の連続性を判断できるのか。

 安部課長は「東京湾の埋立地である豊洲の地層の成り立ちを考えると、難透水層は一定の連続性を持っていると考えるのが常識。それにボーリング調査の結果などをふまえて総合的に判断しました。専門家会議(都が土壌汚染調査と対策のために委嘱した専門家の会議)も認めています」と答えた。

 だが、移転に反対する日本環境学会土壌汚染問題ワーキンググループ長の坂巻幸雄さんは「現実の堆積物は水流による頻繁で小規模な浸食と堆積を反映し、砂、泥など小ユニットの集合です。よってゴムシートもどきの連続した遮水性などもともと期待できません。都の説を実証するなら、一〇〇平方メートルでも全面剥土をしてみれば、地層の連続性がどの程度かすぐ判ります。が、都はそんな基礎的調査はせず、『安全神話』をかたくなに主張しています」と批判した。

 また、NPO法人・日本地質汚染審査機構・地質汚染診断士の会の上砂正一会長は、移転賛成の立場だが「都がやったボーリング調査ではなく、地層が変わるごとに現場で分析し、汚染状況を確認する方法(単元調査法)でなければ、粘性土層の連続性と汚染の実態は確認できません」とした上で、「都はこの問題について第三者の調査チームにデータをすべて出して審査依頼をすべきです」と提言した。

 東日本大震災では豊洲も液状化し、都の調査では一〇八カ所で地下の砂や水が噴出する噴砂が起きた。地震動は豊洲近くの東雲で一六八ガル、辰巳では二二四ガルを記録した。しかし、豊洲新市場の設計地震動は一四四ガルでしかない。しかも、都は耐震計算で液状化すると判定されている箇所の一部は対策を講じず、残す計画だ。

 豊洲では、二〇一四年度開場を目指して現在五八六億円をかけて土壌汚染対策工事が進む。だが、地震で液状化すれば地中の汚染物質が噴出、市場機能は停止する。

 都は二〇〇六年に豊洲購入のために財産価格審議会に提出した議案書では「現在、汚染物質は存在しない」とまで言っていた。その後、仲卸業者や消費者ら都民の移転反対運動で専門家会議が設置され、深刻な汚染が判明した経緯がある。難透水層が本当に連続しているのか、都は実証すべきだ。

(永尾俊彦・ルポライター、7月13日号)