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玄海原発廃炉訴え北九州市でデモ行進

 福島原発事故から半年を迎えようとしていた9月9日、「原発ゼロをめざす北九州市民集会」が福岡県北九州市で開かれ、1200人の市民らが参加した。集会後はJR小倉駅までデモ行進した。

 集会では、東京都に夫を残し3歳の娘を連れて実家のある福岡県内に避難した刀禰詩織さんが、「子どもを守る責任が私たち母親にある。安心して子どもを産み育てられると確信できる日本にしてほしい」と涙ながらに語り、早急な原発廃止を訴えた。

北九州市の目抜き通りをデモする市民。(写真/杉山正隆)

 そして、佐賀県の九州電力玄海原発1号機の即時廃炉をはじめ、迅速かつ計画的にすべての原発を廃止することを政府に訴え、原発ゼロを目指し行動し続けることを宣言する「集会アピール」を採択。また、九電に対し、玄海原発の即時廃炉などを強く求めていくことを確認した。

 北九州市は、玄海原発から約100キロ、愛媛県の四国電力伊方原発から約130キロの地点にある。福島県内や首都圏などから同市に避難している市民は100人を超しているとみられる。参加者らは「原発ゼロをめざそう」「原発から自然エネルギーへ転換しよう」「玄海第1原発をストップしよう」などと口々に訴え、北九州市の目抜き通りを1キロにわたりデモ行進した。「これ以上、人災を拡げるわけにはいかない」と途中、飛び入り参加する市民の姿もあった。

(杉山正隆・ジャーナリスト、9月16日号)

編集委員らが改めて「反原発」訴え――本誌創刊18周年記念講演

 本誌の創刊一八年を記念し、「福島原発事故 いまだからみんなで考えたい」と題した講演会が九月一〇日、読者ら約六〇〇人が参加して都内・日本教育会館で開かれた。第一部では、本多勝一、落合恵子、田中優子、宇都宮健児の各編集委員が、原発問題に対して発言。創刊以来、一貫して反原発を貫いてきた本誌の編集委員として、それぞれの立場から「反原発」を訴えた。

 第二部は、たんぽぽ舎の鈴木千津子共同代表が、同舎の保有する放射能測定器を使っての計測結果を発表。福島県産の桃とソバ粉、三陸近海のワカメは不検出だったが、埼玉県産の緑茶から微量ながらセシウムが検出された。読者が持ち寄った千葉県浦安市の土壌からは、四九〇〇ベクレル/kgのセシウムを検出。改めて、首都圏も汚染されている現状が示された。

 またジャーナリストの明石昇二郎さんが、会場から寄せられた質問に答える形で、「土が付いた野菜は徹底的に水洗いする」といった、日常の放射能から身を守るさまざまな方法を伝授した。

(成澤宗男・編集部、9月16日号)

伊勢崎賢治氏、蓮池透氏らが参加――神戸で福島支援ライブ

「ジャズ・ライブで、福島の原発被災者を支援しよう」というチャリティイベントが九月六日夜、神戸・三宮の名門クラブ「月世界」で開催された。

 ライブでは、国際紛争解決の専門家として知られる東京外国語大教授の伊勢崎賢治氏が、アフガニスタン赴任時に習い覚えたジャズトランぺッターとしての腕前を披露。ジャズグループ「権上康志トリオ」が共演した。

 福島県南相馬市とは、スカイプで結んで生中継。現地からは「窓も開けられない」「学校は分割、サテライト教育」「空気清浄機を学校に」「安全な食材を給食に」などの声が、届けられた。

 トークには、北朝鮮拉致被害者家族会の元事務局長で、東京電力で三二年間働いた蓮池透さんも特別ゲストとして参加。福島原発の管理者だった立場から、「まず福島の事故を終息させること」とした上で「復興を妨げているのは東電ではないか」「誰から何を守ろうとしているのか」と強く批判。また「使用済み核燃料を捨てる場所もゴミ処理の技術もない」と喝破し、「どうせ自滅するなら、フェードアウトするしかない」と結論づけた。この日は、蓮池さんの新著『私が愛した東京電力』(かもがわ出版)も、一般販売を前に披露された。

 イベントの収益は全額、福島支援に寄付される。同実行委員会は、「次は地元の東北で」と、準備を進めている。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、9月16日号)

拘置所収容男性の死因は「凍死」――神戸地裁が国に賠償命令

 神戸拘置所で二〇〇六年、収監されていた二九歳(当時)の男性が死亡したのは「職員が氷点下の真冬に窓を開けっ放しにしていたため」として、母親が国を相手に慰謝料などを求めていた訴訟で、神戸地裁の矢尾和子裁判長は九月八日、「死因は凍死」と認め、国に対し四三〇〇万円の支払いを命じた。拘置所側は「主張が認められず残念」とコメントしている。

 男性は買春など児童福祉法違反の容疑で〇四年に起訴された。容疑を否認していたが、神戸拘置所に拘留されていた〇六年一月七日、独房内で死亡した。男性が日誌に「こごえそうだ」などと綴っていたことや、医師が「手の指が凍傷になっている」と話していたことなどから、母親が「職員が適切な処置をしていれば息子は死ななかった」として、提訴していた。

 国側は「死因は男性が嘔吐物を詰まらせた窒息死」と主張したが、矢尾裁判長は(1)検視では腸の温度が命にかかわるほど低い(2)死亡する前日から独房の窓が開けたままで独房内は氷点下になっていた、などと凍死を認定。さらに、男性は数日前から衰弱でほとんど動けないのを職員は監視カメラで見ていたのに医師に診せるなどの適切な処置を怠ったと指摘した。

 母親は記者会見で「元気だった若者が国の施設内で亡くなるなんて」などと話した。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、9月16日号)

制度の根幹を揺さぶる国立市――住基ネット問う住民投票

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への再接続の可否をめぐり、住民投票の実施を定める条例制定を求めるシンポジウムが九月二日、東京都国立市で開かれた。

 国立市は、二〇〇二年八月に稼働した住基ネットにいったんは参加したが、個人情報保護とセキュリティ上の懸念から同年一二月に離脱。現在、福島県矢祭町とともに住基ネットに参加していない。

 今年四月の市長選挙では、住基ネットの再接続を訴えた佐藤一夫氏が初当選。〇九年には、住基ネットに接続していないのは違法として市を被告として住民訴訟が起こされている。

 今年二月には東京地裁が、住基ネットのサポート委託料についての支出差し止め、並びに当時の関口博市長に対し三九万八〇四〇円の賠償金支払いを命じた。佐藤市長はこの裁判の控訴を取り下げた上で、来年二月を目処に接続することを表明している。

 政府は今年六月に、「社会保障と税の一体改革」を名目とした共通番号制度の大綱を決定し、秋の国会提出を目指している。社会保障情報や納税者情報などが、共通番号にリンクされ、全国民・外国人の所在を特定できる住基番号が想定されている。

 シンポでは、関口氏が共通番号制度の下での民間開放で、預金通帳や個人情報が第三者にもれ、収入や病歴がデジタルデータとして残ることで、「やり直しのきかない社会」に陥る危険性を指摘した。

 国立市は、東京都から地方自治法に基づく勧告と二度の是正要求を受けていたが、関口前市長は切断の継続を表明してきた。

 共通番号制度では、水も漏らさぬ住民把握を運用の前提としているため、離脱自治体の存在は住基ネット以上に制度の帰趨を左右する。住民投票の運動は一一月に一カ月で一二〇〇人以上の有権者の署名を集め一二月に提出、来年一月の臨時議会で議員の過半数を得ることを目指す。国立市の住民投票で住基ネット切断が支持されれば、共通番号制度の運用はいっそう困難になる。

(宗像充・ジャーナリスト、9月16日号)

仙台の女性市議ら当選証書への通称使用を要望――全国初の当選証書「通称」付記

 八月一九日に告示、二八日に投票が行なわれた仙台市議会議員選挙の当選証書に、戸籍名以外の通称の付記が実現した。

 選挙前の一〇日、民主、自民、共産、社民四党の女性候補者一〇人(当初九人、後に一人追加・全員当選)が、当選証書や市広報での記載は通称使用もしくは付記をすること、当選証書付与式での読み上げは通称にすること、国に公職選挙法改正を働きかけることについて、仙台市選挙管理委員会あてに要望書を提出した。

「全国初」への取り組みは、女性予定候補者らが超党派で臨んだ。(提供/ひぐちのりこ)

 告示日の一九日、市選管は「当選証書は戸籍名のみ記載することを国が決めているため、市独自で判断できないが、当選証書は希望に応じて通称で読み上げる予定」と関係者に答えていた。

 二九日の当選証書付与式では、読み上げこそ通称だったものの、記載は戸籍名のみだった。これを受けて九月一日、今回付与の当選証書において、通称を使用されたものと差し替えるか、通称を付記することなどを再度要望した。

 総務省は地方選挙における当選証書への記載についての考え方として「通称を付記することについては、直ちに問題となるものではない」との見解を示している。

 市選管は、当選証書の差し替えはできないが、通称の付記で要望に応えたいと回答。これによって六日、全国で初となる当選証書での通称の付記が実現した。仙台市は職員の通称使用が政令指定都市では二番目(一番は京都市)に認められたが、今回は全国に先がけての実行となる。

 なお、宮城県選挙管理委員会では、一一月一三日に投票が行なわれる予定の宮城県議会議員選挙においても、通称認定申請書を提出した候補者について、当選証書への通称の付記が可能であることを説明する方向で検討をしている。

(ひぐちのりこ・仙台市議会議員、9月16日号)

武器輸出三原則「見直す」前原氏、沖縄に“踏まれる”玄葉外相――いくつもの火種抱える野田政権

「人っ子一人いない、まさに死の街」との発言で辞任に追い込まれた鉢呂吉雄前経産相。

 軽率との誹りは免れないとはいえ、辞任には「違和感が残る」(別の議員秘書)結果となった。後任には菅政権下で官房長官を務め、福島原発事故の対応に深く関与した枝野幸男氏が抜擢された。

 鉢呂氏は農協出身で、旧社会党にも所属。TPP(環太平洋戦略経済連携協定)の旗振り役である経産相の立場にありながら参加交渉に慎重な姿勢をとり続け、今後の原発行政についても野田佳彦首相の「新規建設は困難」との意を受け、「(将来的には)ゼロになる」と明言していた。経産官僚からすれば、まさに“目の敵”のような存在だったろう。

 ジャーナリストの小谷洋之氏は鉢呂氏の発言について、「配慮を欠いていたとはいえ、ゴーストタウン化していることは事実。弁明の必要はあっただろうが、果たして辞任するほどのことだったのか」と疑問を呈した上で、「民主党内においては、従来から原発政策を是とする『凌雲会』(仙谷由人・前原誠司グループ)に籍を置く枝野前官房長官が経産大臣に就任した。これにより、就任直後より脱原発発言を繰り返した鉢呂路線から一八〇度転換する可能性が出てきた」と指摘。「放射能つけちゃうぞ」といった、本来ならば表に出てくるはずのないオフレコぶら下がり取材での発言が、確たる根拠や証拠を示されることなく集中砲火のように取り上げられたことについては、「原発擁護派が本気になって巻き返しを図った可能性を否めない」(小谷氏)と分析する。

 沖縄人を「ゆすりの名人」などと発言したと報じられ更迭されたものの、最近『決断できない日本』(文春新書)を刊行し、オフレコでの発言を否定しているケヴィン・メア元米国務省日本部長よろしく、“巻き返し”は至るところで起こっている。

 枝野氏は経産相の就任会見で「稼働できる原発は再稼働する」との見解を示した。

 また、玄葉光一郎外相は五日の取材に普天間移設問題に関し「踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄の方々と向き合う」などとコメント。踏んだり蹴ったりする加害者は沖縄側だというのか。本誌記者は翌日の会見で同氏に真意を確かめてみた。

「決して加害者とか被害者とか、そういうことを意図して申し上げたとは、私はほとんどの方は解釈されないと思います。私自身がある意味、非常に厳しい立場に立ってもさまざまな不満を(中略)耐えなければいけないという意味で申し上げたわけでございます」

 日本と沖縄の差別構造は、大臣の言葉一つにも現れる。

 また、玄葉氏は六日の会見でも普天間問題について、私案として「(閣僚経験者らの)資産、蓄積を活用した方がいい。野党の資産だって活用すべき」などと述べた。この発言には伏線がある。

 今年七月、前原誠司氏や中谷元元防衛相ら、超党派の議員で構成する「新世紀の安全保障を確立する議員の会」メンバーは訪沖し、辺野古移設を容認する地元議員や経済関係者らと会談している。今回の玄葉外相の発言についても「七月の段階で、辺野古移設を超党派で進める、という方針を打ち立てていたのではないか」(地元記者)という見方がもっぱらだ。

 そして前原政調会長。九月八日にワシントンで行なった講演では、武器輸出三原則について「見直すべきだ。三原則により、日本の防衛産業界は民間レベルの先行的な共同技術開発などへの参画すらできない」(『朝日新聞』九月九日付)と、防衛相の頭越しに、自説を展開してみせた。この前原氏の“暴走”に対し「極めて正しい」と援護したのが自民党政調会長の石破茂氏だ。両氏はともに日米両国の防衛産業界に通じた仲であり、石破氏が「辺野古移設」でも援護に回る可能性は極めて高い。

 しかし、沖縄と真摯に向き合ってこなかった民主党に対する地元の不信感は根深く、民主党関係者は「超党派で臨んだところで、辺野古への移設は事実上不可能だ」と言い切る。

(本誌取材班、9月16日号)

「デモ罪」が“”創設”されかけている――新宿の反原発デモで12人逮捕

警察に取り抑えられるフランス人男性。原発擁護派の“巻き返し”が起きている。(撮影/筆者)

 福島原発事故からちょうど半年となる九月一一日、新宿駅周辺で「9・11新宿・原発やめろデモ!!!!!」(呼びかけ「素人の乱」)が開催され、約一万人(主催者発表)が三時間弱のコースを練り歩き、反原発、反核を訴えた。

 だが、「デモ開始二分後に逮捕者が出た」(バンド関係者)のを皮切りに、市民団体関係者、外国人、主催者側担当者など、逮捕者が続出。合計一二人が新宿警察署などに連行される異例の事態となった。

 筆者は主催者側警備担当として参加したが、午後五時前後の約一〇分間に新宿伊勢丹前付近において、三人が次々と逮捕されるのを目撃した。

 一人目は、路上での警察の過剰なデモ規制に抗議していた高齢者が転倒したことをきっかけに混乱状態となり連れ去られた。その際、一般市民を装った公安警察が歩道から飛び込んできて逮捕者救出をする素振りで混乱を煽るといった“茶番劇”も見られた。

 二人目は、放射能防護服のコスプレで参加していたフランス人男性で、すでに路上に組み伏せられていた(写真)。一緒にいた妻の話では「右翼に『脱原発は犯罪者』と言われたことに腹を立て、手を挙げて抗議したところ、取り抑えられてしまった」とのこと。三人目は、警察に囲まれて連れ去られるところで姿さえ見えなかった。「素人の乱」(高円寺の商店経営者などを中心とした集団)が八月に銀座で行なったデモでも歩いていた参加者二人が突然逮捕される事件が起こっている。

 警察側はデモ参加への恐怖心を植えつけるための「無差別逮捕」を行なっているかのようだ。デモに参加しただけで罪となる「デモ罪」が警察によって“創設”されかけている。

逮捕者を支援するためのカンパ宛先:ゆうちょ振替

口座番号 00140-2-750198 ミンナノキュー

(竹内一晴・ライター、9月16日号)

福島医大で「放射線と健康リスク」国際会議――異説と市民を排除した「英知の結集」

「放射線と健康リスク――世界の英知を結集して福島を考える」と題した国際専門家会議が九月一一、一二日の二日間にわたり、福島県立医科大学で開催された。会場には、世界一四カ国・二国際機関から放射線医学や放射線防護学の専門家が一堂に会し、研究者二九人が講演。医師や医学研究者など約四〇〇人が会場を埋めた。

 主催者の日本財団は、会議の目的が、福島第一原発事故による放射線の健康へのリスクを正しく評価し、福島県が実施している二〇〇万人対象の県民健康管理調査事業に役立てることにある、としている。また、同会議の組織委員会には、一〇〇ミリシーベルト以下の被曝は「安全である」と述べた福島県立医科大学副学長で、県民健康管理調査検討委員会座長の山下俊一氏が名を連ねている。

 パネリストとして講演した研究者の大半が、国際放射線防護委員会(ICRP)や国際原子力機関(IAEA)、国際連合放射線影響調査科学委員会(UNSCEAR)の関係者で占められていた。

 一方、ICRP勧告よりも厳しい被曝限度を主張する欧州放射線リスク委員会(ECRR)や核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、フランス放射線専門家グループ(CRIIRAD)などの専門家は招かれていない。また、メディア関係者は入場が許可されたが、一般市民は不許可だった。

 講演では、放射線医学総合研究所理事の明石真言氏が、「市民は正しい情報がわからずに混乱している。研究者は科学的知見にもとづいて、同一の情報を発信すべき」と主張。米国国際疫学研究所のジョン・D・ボイス氏は、「チェルノブイリ原発事故と違い、福島の原発年数の放射線量では、小児甲状腺がんなどの健康被害のリスクはない」との推定を発表した。

 また、ストーニーブルック大学のエヴェリン・J・ブロメット氏は、原発事故による公衆衛生上の最大の問題は放射線障害ではなく心理的影響であり、「抑うつなどの疾病が心配される」などと話した。

 さらには「原子力発電は不可避な選択であるので、一般市民の認識を国際社会全体で変革してゆくことが不可欠である」(漢陽大学校ジャイ・キ・リー氏)という発言まで飛び出した(講演と質疑応答は、日本財団のホームページ http://www.nippon-foundation.or.jp/org/news/fukushima-sympo.htmlを参照)。

 会議前の九月九日には、市民放射能測定所(福島市)をはじめ一二九の市民団体が、国際会議の主催者である日本財団に公開質問状を提出。質問状は、「国際会議として、放射線被ばくによる健康への影響を検討するならば、異なる見解を持つ専門家、研究者同士が議論してこそ意味がある」と指摘した上で「市民の不安を取り除くはずの会議が、一般市民を排除して市民の声が届かない形で行われる」と批判した。

 異なる見解をもつ専門家を排除し、一般市民の入場も禁止する理由を問うたのだ。

 パネリストをICRP勧告の信奉者に限定し、意見対立をあらかじめ回避するのでは、科学的で公平な議論が保障されない。また、被曝者でもある市民に参加の機会さえ与えないのは、リスクコミュニケーションを行なう意思はないのでは、と疑われても仕方がない。

 原発事故から半年、福島県民は放射能被害との、終着点の見えない闘いの中を生きている。そして、政府や県の後手後手の放射能対応に憤り、放射線防御を優先せずに「安全」を説く専門家に不信と不満を募らせてきた。

 今、切に求められているのは、放射線リスクの正確な情報を専門家と市民が、意思疎通しながら共有してゆくことであろう。そうでなければ、将来県民健康管理調査の結果が出たとしても、内容を信頼することはできないだろう。

 会議場前では、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークのメンバーらが、「福島医大を“第2のABCC(原爆傷害調査委員会)”にするな」「子どもたちを放射能から守れ」「山下副学長は辞任せよ」といったメッセージを掲げ、抗議行動を行なった。

(福島美子・ライター、9月16日号)

大江健三郎氏らが「脱原発」へ向け会見

「大きな決断をすべき時にきている」と、作家の大江健三郎氏は語気を強めた。

 9月8日実施の「さようなら原発」と、19日実施の「さようなら原発5万人集会」へ向けた記者会見が6日、東京・市ヶ谷で開かれ、呼び掛け人のうちルポライターの鎌田慧氏、作家で本誌編集委員の落合恵子氏、そして大江氏が開催に向けて意気込みを語った。会見場には日弁連会長で、本誌編集委員の宇都宮健児氏も応援に駆けつけた。

「決意」を語る、集会呼び掛け人ら。(写真/編集部)

 落合氏は「現在進行形で被曝し続けている子どもたちがいるという現実を忘れていませんか」と、再稼働の方針を示している野田新政権に疑問を投げ掛けた。

 大江氏は、広島・長崎の原爆投下があったにもかかわらず、“第三の原爆”を起こしてしまった事実に対する「強い反省」を訴え、「日本人に大きな事実がのしかかっている。それを受け止め、二度と起こさせてはならない、というところに私たちは立っている」と決意を語った。

 弁護士の宇都宮氏は「司法の責任」に言及。これまで、原発差し止めを求める住民の訴えを認めた判決は2件(いずれも地裁判決で上訴審で棄却)しかないことについて、「もし最高裁で差し止めを認める判決が1件でもあれば、事故を防げる可能性があったのではないか」と、最高裁の責任を訴えた。

 19日の集会には、ノーム・チョムスキー氏(思想家)ら米国知識人による「連帯メッセージ」も寄せられている。

(編集部、9月9日号)