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市民と議員のネットワーク構築 電磁波問題の勉強会 

「電磁波問題を考える市民と議員のネットワーク」の第一回勉強会が二一日、神奈川県真鶴町で開かれ、自治体の議員や、規制条例を提案しようとしている市民、電磁波による健康障害に関心のある医師ら一五名が参加。電磁波問題の現状について意見を交わした。
 このネットワークは今年九月、電磁波問題に取り組む市民や国会議員らによって結成され、情報を共有しながら規制条例や国レベルでの法規制の実現に向けて取り組むことなどを目的にしている。
 神奈川県鎌倉市では今年四月、携帯電話・PHS基地局、無線LAN局を設置する際、事前に周辺住民に知らせ、市に説明会実施報告書や計画届出書を提出し、対象地域の住民が閲覧できるよう定めた条例を制定した。鎌倉市の条例制定は各地に影響を与え、六月の地方議会では北海道、東京都国立市、町田市などで電磁波の影響について質疑が行なわれている。
 同ネットワークの呼びかけ人の一人である栃木県宇都宮市議会議員の西房美さんは、日本心臓ペースメーカー友の会栃木支部長で、自身も心臓ペースメーカーを装着している。数年前から電磁波過敏症のような症状が現れるようになり、携帯電話使用者や携帯電話基地局のそばで、耳鳴りや頭痛を感じ、交通機関や人が集まる場所で体調不良に悩まされている。
 宇都宮市議会で西さんは、電源オフを実行するよう口頭で求めたが受け入れられず、九月中旬、携帯電話の電源オフを議会傍聴規則に盛り込むよう改めて文書で要望。一二月議会では、基地局を規制する条例制定を求める予定だ。
 西さんは「このようなネットワークはもっと早く結成すべきだった。電磁波に苦しんでいる一人として声を挙げていきたい」と話す。
加藤やすこ・ライター

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元自衛官女性の名誉を傷付けた田母神前幕僚長に謝罪要求 

 田母神俊雄前航空幕僚長が昨年出した『自衛隊風雲録』(飛鳥新社)内の記述で、航空自衛隊基地内の性暴力をめぐる国家賠償請求訴訟で勝訴した元自衛官の女性の名誉を傷付けたとして、元自衛官の代理人である佐藤博文弁護士が謝罪を求める文書を送付したと一九日、発表した。
 昨年五月に出された本書において田母神氏は、当時係争中であった元自衛官の女性の裁判について「よくある男女間の “いざこざ”のたぐい」「女性は精神的に不安定で、入院した経歴もあり」などと、事実と異なる記述をしていた。
 札幌地方裁判所は、提訴から三年余りを経た今年七月、勤務中に泥酔した男性に呼び出された女性が性的暴力の被害を受けたこと、被害を相談した上司たちはきちんと対応するどころか、逆に被害者に退職を強要したことなど、原告側の主張を全面的に認め、国に職場環境調整義務、被害者保護の義務などを果たさなかったとして、五八〇万円の賠償を命令。国は控訴せず、判決は確定している。田母神氏は事件当時、空自トップの航空幕僚長だった。
 この本の中における田母神氏の勝手な解釈こそが、長い間女性たちの口を封じさせ、暴力を暴力として認識することを妨げてきた。その上、事件の責任を負うべき地位にいた氏がこのような内容を公表していることは、「職務上知りえた女性のプライバシーにかかわることを公刊しており、自衛隊法で定められた退職後の秘密保持義務に違反する」行為となる。元原告の女性は、裁判が終わった後までも事実と異なる内容が書かれた本が流布していることに、強い憤りを感じている。
 佐藤博文弁護士は記者会見で「本の内容は事実と異なり、守秘義務にも反する」とし、謝罪を求める文書について一〇日以内の回答を求めた上で、もし謝罪がない場合は刑事告訴、告発等の法的手続きを取ることを表明した。
 暴力装置である自衛隊で、人権が保障されるということがそもそもあり得るのか。
 自衛隊員である前に一人の市民たり得るのか、この裁判の波紋はまだまだ収まらない。
丹羽雅代・アジア女性資料センター運営委員

武富士の過払いを全額肩代わり? 「富士クレジット」の奇妙な行動

 東京地裁に会社更生法申請中の「武富士」(吉田純一社長・小畑英一管財人)が「過払い」になっている債権を大阪市の消費者金融「富士クレジット」(大岩秀幸社長=日本貸金業協会理事)に売却していた問題で、あらたに不審な事実が発覚した。
 富士クレ社を相手どって武富士の顧客が起こした過払い金返還請求訴訟で、武富士の時に発生した過払い金を全て富士クレ側が肩代わりする旨の答弁をしていたのだ。
 武富士の過払い金を払っても、富士クレ社には一文の得にもならない。そのことを知りながら過払い債権を購入したとすれば、富士クレ社の経営者は特別背任罪に問われる可能性もある。また、債権を売却した側の武富士も借金を売りつけた道義的責任は免れない。
 問題の裁判は、武富士と取り引きのあった男性が今年一〇月、債権売り渡し先の富士クレ社に対して約一一万三八〇〇円の過払い金返還を求めて東京簡裁に提訴したもの。男性は富士クレ社とは取り引きがなかったが、「五月二五日付で武富士から富士クレに債権が売却された」との通知を受けたため、同社相手に訴訟を起こした。
 過払い金は武富士時代のものだったため「武富士に請求せよ」との反応を男性側は予想していた。ところが一六日の弁論で、次のような和解案(趣旨)を出してきた。
〈過払い金は全額富士クレ社の不当利得として認める。その上で弁済額を六割の七万円に減額する。武富士には今後請求しない〉
 行田豊裁判官も「過払い金を認めているんですね……」と首をかしげるほどの不可解さだった。男性側は和解を拒否し、一二月一〇日に判決が言い渡される。富士クレ社がなぜ武富士の借金を買ったのか、武富士がなぜ売ったのか。謎は深まる一方だ。
 一方、富士クレ社が武富士の顧客に対して次々と貸金請求訴訟を起こし「貸しはがし」を行なっていることもわかった。遠方の当事者欠席のまま、続々と判決が出されている。サービサー法(債権管理回収業に関する特措法)違反の疑いが考慮されることもないまま、東京簡裁はさながら借金取り立ての証文にお墨付きを与える自動販売機の様相を呈している。
三宅勝久・ジャーナリスト

学校給食のデータに多数の不審点 渋谷区教委が公文書改竄か

 東京・新宿から電車で五分ほどの場所に位置する渋谷区笹塚。昔ながらの商店街と住宅街が混在する地域に位置する渋谷区立笹塚中学校で、少なくとも二〇〇七年から〇九年の間、生徒に出されていた給食が文部科学省の定める一食あたり必要なエネルギー摂取量を下回っている可能性が浮上している。エネルギー摂取量については学校給食法に定めがあり、同中がそれに抵触している恐れもある。
 文科省の定める生徒一人当たりの平均所要栄養量の基準によると、当時、中学生のエネルギー摂取量は「八三〇キロカロリー」と定められており、誤差はプラスマイナス一〇%とされているが、笹塚中ではその基準を下回るエネルギー量だったことが常態化していたものとみられる。
 給食は通常、給食室で作られる「自校式」と給食センターで一括して作られる「センター方式」に大きく分けられる。今回問題になっている笹塚中を含め、渋谷区内の中学八校は全て自校式を採用している。さらに、給食のメニューについては、渋谷区教育委員会(区教委)や学校に配置された管理栄養士が保護者から支払われた給食費を基に献立を決めるのが通常だという。問題のあった時期には、八校のうち四校に東京都から派遣された管理栄養士を配置していたが、笹塚中については他の四校をまとめて監督する管理栄養士が区教委に配置されていた。
 今回の問題が表面化したのはある女子中学生の一言がきっかけだった。「中学の給食が美味しくない」。区立小を卒業後、笹塚中に進学した直後のことで、母親は当初その言葉をにわかに信じられず、娘を叱った。「人が作ってくれたものを感謝して食べなさい」。この母親は「行政が作る給食がでたらめだなんて、その時は疑うこともなかった」と当時を振り返る。
 〇九年、この母親はPTA役員に就任したことで保護者の一部から「給食がまずいから何とかして」と言われるようになったという。そこで母親は在校生の保護者を対象にして、給食に関するアンケートを実施。保護者からの回答には、「給食の量が少ない」「いつも子どもが『お腹が空いた』と漏らしている」「原因は給食費の未納か」などの声や、給食費の決算書を要求する多数の意見が寄せられた。
 そして同年七月、保護者の一人が区教委に対して中学校給食の記録に関する書類を情報公開請求したところ、約一八〇枚の記録が開示されたことを機に、不審な点が発覚した。
 本誌が入手した資料のうち、〇八年七月七日の記録によれば、カロリーが生じないはずの水に八九キロカロリーと記されていたり、別の日には保護者が納入している一食あたり三一三円の給食費を大きく下回る一四一円で給食が作成されるなど不審な点が随所に見受けられた。
 同一の資料について、これまでに母親は区教委に対して情報公開請求を数回実施してきたが、公開された書類は同一の内容ではなく、バツ印が付けられたり書式自体が大きく変更されていたりと、区教委が何らかの理由で書類を書き直し、改竄した可能性が窺える。
 さらに、資料に押印されている捺印について、本人は「押印していない」と主張しているものまで存在する。この件については今年六月一〇日、渋谷区議会において芦沢一明議員(民主)が質問をし、問題にもなっている。
 本誌は、渋谷区教委に対して資料改竄に関する事実を問いただしたが、「答える段階にはない」と事実上の回答拒否だった。
 エネルギーデータの改竄、無承諾押印……疑惑の背景に何があるのか、今後明らかにしていきたい。
本誌取材班

萎縮効果で文化をつぶす都条例改定案の破壊力

 日本漫画家協会(やなせたかし理事長)と、21世紀のコミック作家の会(さいとう・たかをさんなど五人が理事)、マンガジャパン(代表)の漫画家三団体が一一月二九日、都の青少年条例改定案に反対する声明を発表した。「表現の自由を侵害する恐れが極めて高く、創作活動を萎縮させる可能性がある」と、都議会に否決するよう強く求めている。

 同日、都庁で会見に臨んだ、ちばてつやさんは「これから漫画を描こう、アニメーションを創っていこうという若者たちが萎縮し、おびえているのを身近に感じている。文化がしぼんでしまうことを一番心配している」と強調した。

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の作者の秋本治さんは「(主人公の)両さんは、仕事中に酒も飲めず、賭け事もできず、普通の生活をするようになり、漫画として成り立たなくなる」「何も描けなくなるかもしれない」と話した。

 会見に同席した出版社幹部らは、前回の改定案で反対に回った都議会民主党の態度の変化に首をかしげる。来春の都議選を控え、都がPTAと各議員の地元で七二回に及ぶ会合を開いた影響を指摘する声もあるという。改定に反対した都議を”エロ議員”などと誹謗中傷、再選させないぞなどとの”圧力”があると囁かれている。

「都青少年課では昨年九月、突然の人事があり、警察庁からの出向者が増えた。それまでは都と議論しながら業界側で自主規制をしてきたが、頭ごなしに改定案が出てきた」「改定案を貫いている思想では、治安対策が家庭教育に入ってくる気がする」(出版幹部)

 では萎縮効果は実際にあるのか。

「都条例改定案をパロディー化した劇の上演を、劇場から『内容が反社会的なのではないか』として拒否されました」と話すのは、京都の劇団「笑の内閣」(http://www.geocities.jp/waraino_naikaku/)の高間響代表。劇の題名は「非実在少女のるてちゃん」。漫画の世界からやってきた「のるてちゃん」が高校の漫画研究会と協力し、条例成立を阻止しようとするあらすじだという。九月に京都市内で公演して好評だったため、一二月に東京公演を計画した。

 高間さんによると、都内の劇場数カ所を下見し、一カ所と一〇月九日、口頭で合意した。ファクスするよう言われた申し込み書を一〇日に送ったところ、翌一一日午後二時、劇場の管理人から使用を断る旨の電話がきたという。

 劇自体は今月一一、一二日の両日、東京・池袋のシアターKASSAIで公演されるが、条例を先取りしたかのような「萎縮」「自粛」効果に、高間さんは「私が『反社会的とはどういうことですか?』と問いつめたら、『企画書に条例に反対するって書いてるでしょ」と言った。これは、反対運動をしているすべての人への侮辱であり、この条例は表現の自由を奪う非常に危険なものと解釈しています」と憤っている。

(伊田浩之・編集部)

武富士債権まとめ買いの貸金業者――「富士クレジット」にヤミ回収疑惑

 九月二八日に会社更生法を申請した「武富士」が、今年五月から六月にかけて、顧客への返金義務がある「過払い」債権を売却して利益を得ていた問題で、あらたな疑惑が浮上した。これらの債権を買い取った貸金業者「富士クレジット(株)」(大阪市中央区、大岩秀幸社長)が、社員にノルマを課すなどして徹底的な回収を行なっている事実が判明したのだ。

 弁護士法やサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)により、債権回収業は法務大臣の許可を得たサービサー(債権管理回収業者)か弁護士しか営むことができない。富士クレジットはサービサーの許可を持っていないことから、「ヤミ(無許可)回収業者」の疑いが濃厚となってきた。

 一一月一二日、筆者は大阪市淀川区にある富士クレジットの「回収センター」を訪れた。その際の様子は次のとおりである。

  入り口付近から視認できただけで一〇人ほどの社員がせわしなくパソコンを操作したり、電話をかけている。断片的だが、「武富士の……」「ご入金のほうを……」「お帰りは……」などと言った言葉が聞き取れる。見えているのは一〇人ほどだが、部屋の奥は広そうで三〇人から四〇人はいるようだ。壁を見ると数字を書き込んだグラフが何枚も張ってある。グラフの線は右肩にあがっている。目を凝らすと、「責任者」の名とともにこう書かれていた。

「保有件数二二九四件 回収件数六八九件」「保有件数二三〇二件 回収件数六九一件」

「回収件数」は一一月の達成目標らしい。

  グラフ線の下には表があって、「日付」「目標」「実績」などの項目に沿って細かい数字が書き込まれている。また、別の場所には「個人別回収目標件数」と題された表も張られている。

 「武富士の債権も回収しているんですね」

 応対した高原健一・営業本部課長代理に質問したところ、高原課長代理はそれを認めたうえで「通常の回収業務を行なっています。それ以上は本社に聞いてほしい」と答えた。疲労した様子が窺えた。

  大阪市中央区の富士クレジット本社に足を運び、峠秀岳・お客様相談室長に尋ねた。

――武富士の債権を回収しているのですか。

 武富士とウチは関係ありません。

――過払い分も含めて武富士から債権を買っていることは債権譲渡登記からも明らかですが。

 これ以上は答えられません。

――過払い債権をなぜ買ったのですか。

 お答えできません。

――無許可回収、サービサー法違反になりませんか。

 お答えできません。

――なぜ?

 上の判断で答えられません。

  けんもほろろの対応であった。

 富士クレジットの会社謄本を確認したところ、武富士の会社更生法申請から三日後にあたる一〇月一日付で、東京都港区に新支店を開設していることもわかった。貸金業者が軒並み事業を縮小したり廃業する時代である。そうした状況下での新支店開設は目を引く。支店は、買い取り債権の回収を行なう「回収工場」ではないのか。その可能性は拭いきれない。

  富士クレジットがいささか怪しげな業者と債権を売り買いしている様子も浮かんできた。たとえば「(株)ティー・アンド・エス」(東京都港区、珊瑚昭英社長)という貸金業者がある。旧名は「(株)貴善」(黒田武稔社長)。時効を迎えたような不良債権をサラ金から買い取り、多額の延滞金を加えて「最後通告」などと書いた督促状を送りつけるなど、悪質な取り立てで知られる会社である。

 サービサー法は、こうした悪質な回収による被害を防ぐための法律である。二〇〇八年には大阪地検特捜部が無許可回収の同法違反で貸金業者「レオン」の社長を逮捕・起訴した。だが結局のところ、ヤミ回収業者の捜査は五月雨式で、大半が野放し状態。頼みの大阪地検は身内のスキャンダルでおおわらわという有様だ。

 (三宅勝久・ジャーナリスト)