週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース

第1回津田梅子賞――森山眞弓・有森裕子両氏とWWNが受賞

 津田塾大学は今年、創立一一〇周年を記念し、津田梅子賞を創設した。同賞は女性の可能性を広げる取り組みをした個人や団体、各分野で先駆的な活動をした女性に贈られる。

 第一回目の受賞者は、女性官僚の草分け的存在としてキャリアを築き、女性初の官房長官や文部大臣を務めた森山眞弓氏、五輪女子マラソンで二大会連続のメダルを獲得し、開発途上国訪問して女性の地位向上やジェンダー平等の重要性を伝える啓発活動に取り組む有森裕子氏、女性の地位向上を目的として男女賃金差別裁判のサポートや政府・企業への働きかけをするほか国連などの国際舞台でも活動する「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)」の二個人一団体。同大学小平校舎で一〇日、一一〇周年記念式典の一つとして授賞式が行なわれた(有森氏のみ代理人が出席)。

 選考委員の一人である鹿嶋敬・実践女子大学教授は講評で「北海道から九州までの広範囲で三二件の募集があり、福祉分野、研究者、科学分野、市民運動と広範な分野からの推薦があった。これは常日頃から目的意識をもって活動をしている人が多いことの表れであり喜ばしい」と述べ、それぞれの受賞者を紹介。森山氏については「初の女性上級職員、婦人局長、官房長官など初物づくし、といってもいいほどのキャリアで女性の道を切り拓いてきた。息子さんを亡くされた時も冷静に悲しみを秘め、乗り越えてこられた」などと公私にわたるエピソードを交えて話した。

 有森氏については、「バーニングブライド(女性が持参金の不足などを理由に夫やその家族から焼き殺される南アジアの悪習)の問題やアフリカの女性性器切除の問題などを知り、これらのジェンダーに関する問題について発言するなど、女性差別撤廃について尽力している」と受賞理由を説明。WWNについては「依然として残る男女間の格差是正に取り組み、同一価値労働・同一賃金の実現など実質的な男女平等に向けて取り組んでおり、特に国連女性差別撤廃委員会への働きかけは注目に値する。個人的にも知っている代表の越堂静子さんは典型的な大阪のおばちゃんで、国連でもその物怖じしないパワーを出していてすばらしいと思っている」などと紹介し、笑いを誘った。

 式典後、森山氏に感想を訊くと「まあ金曜日の人に訊かれるなんて」と笑いながら「賞のお話が来てびっくりしている。私たちは学生運動の時代で十分に勉強していないから、先生方はあなた方はどん底ですっておっしゃっていたし、だからありがたいことだと思っています。(仕事も)あまり大したことはしてないでしょ。予想外のおほめに与かって恐縮だと思っています」などと優等生らしいコメント。WWNの越堂代表は「本当にありがたい。津田梅子さんはパイオニアで、その人が設立した大学の賞の第一回目に選ばれるとは光栄。賞金の三〇万円は働く女性へのインタビュー調査や企業訪問などのリサーチ活動に使わせていただく。これまでWWNってなんやと思われてきたから、名刺に津田梅子賞受賞と入れようかと思っている」などとユーモアを交え感謝の気持ちを表明した。

 WWNを推薦した浅倉むつ子・早稲田大学教授も「推薦人としても嬉しい。WWNは国際的な活動もしており、国際社会を切り拓くという賞にふさわしい。有森さん、森山さんという超有名人だけの受賞よりも草の根で活動しているWWNが受賞したことで賞の意義がより明確になったのではないか」などと喜びの意を表した。

(宮本有紀・編集部)

検審「起訴議決」で小沢氏に辞職を迫るメディアの不見識

9月1日、民主党代表選の共同記者会見を終え会場を出る小沢一郎氏(中央)。今も影響力は大きい。(撮影/伊田浩之)

〈こんなの民主主義じゃない、戦争中みたいと78歳の母親が申しております〉(@tokudasu)

 朝刊全紙(『朝日』『毎日』『読売』『産経』『東京』『日経』)が一面トップで「小沢氏 強制起訴へ」と報じた一〇月五日、インターネットの「ツイッター」で、報道を批判するつぶやきが『週刊金曜日』公式アカウント(@syukan_kinyobi)に届いた。

 検察・司法に詳しいジャーナリストの魚住昭さんは、新聞テレビの大々的な報道を批判する。

「検察審査会の結論(起訴議決)はどうってこことない、というのが私の正直な感想です。政治資金規正法違反といっても、土地売買の収支報告書への記載が年をまたいでいただけだし、登記日を売買完了日と考えると違法ですらない。そんなことまで小沢さんが指示しているのでしょうか。弁護士がしっかりしていれば結論は無罪となるでしょう。検察が起訴しても判決が確定するまでは推定無罪が原則。検察が起訴できないと判断した小沢さんの事件ではさらに無罪となる可能性が高いのに、小沢氏を批判するのは法の趣旨を理解していない言論だと思いますね」

 元東京地検特捜部検事の郷原信郎さん(弁護士)は、検察審査会の判断自体に首をかしげる。

「政治資金規正法の解釈自体がおかしいのではないでしょうか。第一義的に虚偽記載に問われるのは会計責任者です。小沢さんが罪に問われるには、明確な関与や指示がないといけない。そこがはっきりしないから検察は二回にわたって不起訴としたのです」

 だが検察審査会の議決は、小沢氏と秘書(当時)との間のやりとりについての調書についてこう記述する。〈取調べを受けたのは、被疑者(注:小沢氏)に説明・相談し、了承を得たときから5年ほど経緯した時点で(略)具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ作為性を感じ、違和感を覚えることになる〉

 郷原さんはこの記述にあきれる。

「厚労省の局長だった村木厚子さんの冤罪事件で浮かび上がったのは、具体的で迫真性がある供述調書を検察が捏造することがあるという事実です。それを裏返して、『具体的・迫真的でないから信用できる』は論理があべこべです」

     「無罪」のとき誰がどうやって責任をとるのか

 だが新聞全紙は五日、一斉に小沢氏を批判した。『朝日』は社説で〈小沢一郎・元民主党代表は今こそ、自ら議員辞職を決断すべきである〉と断定。『毎日』は〈小沢氏は自ら身を引け〉と題した社説で〈国会での究明と同時に、出処進退について、自らけじめをつけるべきである〉と主張した。『読売』社説も〈小沢氏「起訴」の結論は重い〉としている。

 その理由を『毎日』社説は次のように記す。〈要するに市民感覚として小沢氏の不起訴は納得できないということだ〉〈今回の議決書からは、審査員らが供述調書などの証拠を丁寧に読み込み、結論を導いた様子がうかがえる〉

 前出の魚住さんはこう指摘する。

「検察審査会の審査員は、検事調書しか読んでいない。村木事件ではっきりしたように、調書はストーリーありきの”検事の作文”なんです。なかでも特捜検事は”作文の職人”。プロの裁判官でも騙される作文なんです。どうしても小沢氏を起訴したいという検事の思いが乗り移っている調書を読まされて審査員が影響を受けるのは、審査員の責任でなく、検察審査会の仕組み自体の問題です。まして議決は、フロッピーディスクの証拠捏造事件の前に出されていますから、調書自体は疑わない」

 だが、そんなことは新聞記者は十分承知なのではないか。

「新聞・テレビは東京地検特捜部の筋書き通りに報道してきましたから、検察審査会の結論はこれまでの報道とピッタリ合うのでしょう。小沢氏が記者に嫌われているのもバッシングが加速する一因です。勉強不足の記者がいるのは事実ですが、小沢さんはそれをはっきり口に出すし、またごく一部の記者にしか情報を出さないので記者に嫌われています」(魚住さん)

 ある政治部記者は「社の幹部が小沢嫌いなので、報道がそうならざるを得ない」と嘆いている。

 郷原さんはこう話す。

「議員を辞職すべきという報道には、法的センスや見識を疑う。小沢さんが無罪になったときに誰がどう責任をとれるのでしょうか」

(伊田浩之・編集部)