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総選挙と同時実施の「最高裁国民審査」にむけて法曹団体が「罷免すべき判事」示す

本田雅和|2021年10月28日1:23PM

「最高裁国民審査」リーフレットを掲げ記者会見に臨んだ(左から)大山勇一、澤藤統一郎、角田由紀子、児玉勇二の各弁護士=10月20日、東京・霞が関の司法記者クラブで。(撮影/本田雅和)

10月31日の総選挙と同時に実施される最高裁判所裁判官「国民審査」=辞めさせたいと思う裁判官に「×」を付ける制度=について、弁護士や学者らで組織する日本民主法律家協会(日民協)のプロジェクトチーム(PT)が判断材料を示した啓発リーフレットを作成、インターネット上で公開し、冊子としても印刷・配布している。

同PTの弁護士や元裁判官らが20日、記者会見。「主権者として最高裁に合否の審判を――法律家の立場から訴えます」とする声明を発表。「権利保障に背を向けた裁判官に×を」「人事権を梃子に、全国の裁判官と裁判を内部的に統制してきた司法官僚(裁判官)に×を」などと呼びかけた。

今回の国民審査の対象となるのは憲法79条の規定により、最高裁15判事のうち11判事。リーフレットではうち7判事が関与した主要な判決・決定について、概要などを紹介して解説。個人の尊厳、自由と平等、司法の独立など、日本国憲法の価値を守る姿勢を貫いてきたか――などの観点から×をつけるべきかどうか、分析・評価している。罷免を求める×票が無印の信任票を上回る場合、当該判事は罷免される。

取り上げた判決・決定は2019年6月~21年6月に示された4案件。最高裁は(1)法律婚での夫婦同姓(氏)の強制(2)非正規労働者の待遇格差(3)冤罪の訴えに再審開始を自ら判示しないこと(4)1票の格差3倍は国会の裁量内であること――をいずれも是認し、「合憲」などと判示したが、これら多数意見に対して明確に「違憲」としたり、反対する少数意見を述べたりした学者出身の宇賀克也判事を除き、残り6判事全員に×を付けるよう勧めている。

7判事以外の4判事については今年7月以降に就任しており、最高裁判事としては評価すべき判決・決定がないため、経歴だけを示すにとどめている。しかし、裁判官出身の安浪亮介判事だけは、キャリアの大半が判事としてではなく最高裁などでの人事行政畑で勤務しており、「特に注目すべき判決はなく、裁判官というよりは司法官僚だ」(PTの西川伸一・明治大学教授)として「不適格で×を付けるべきだ」とした。

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