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沖縄米軍基地への機動隊派遣、名古屋高裁が「違法」判決

本田雅和|2021年10月19日4:51PM

10月7日、名古屋高裁前で逆転勝訴判決を伝える原告団。(YouTube映像より)

沖縄の米軍基地建設に伴う警備に各都道府県警が警察官を派遣することの違法性を問うた訴訟で、初の「違法」判断が出た。

沖縄県東村高江周辺での米軍ヘリコプター離着陸帯の「移設」工事の警備のために、愛知県警が機動隊を派遣したのは違法な公金支出だとして、県民193人が知事を相手取り、約1億3000万円の損害賠償の支払いを県警本部長に命じるよう求めた住民訴訟の控訴審判決が10月7日、名古屋高裁であった。倉田慎也裁判長は請求棄却の1審判決を変更、「専決処分による派遣は違法」と手続き上の違法を認め、当時の県警本部長に約110万円の賠償を命じた。

原告弁護団によると同種の訴訟は東京、福岡でも起こされているが原告勝訴は初めて。「予想外の逆転勝訴」に大脇雅子弁護団長は「沖縄の現状を愛知で闘ってきた。沖縄での非暴力の不断の闘いがあってこそ勝ち得た判決」と感慨深げ。原告団の山本みはぎ事務局長は判決が(1)現地での警察職員による検問や撮影なども適法性や相当性で疑問が生じる(2)抗議活動のための車両やテントを法的根拠なく強制的に撤去しており違法の疑いが強い――としていることを指摘。「高江の非暴力の抵抗運動を認め、警察の暴力的弾圧を違法としたと言える」と強調した。

愛知県警は2016年7~12月、県警本部長の専決で警察官を派遣。違法だとの原告側主張に対して名古屋地裁は、派遣決定後の公安委員会への報告と事後承認で手続き上の不備は「治癒された」と判示していた。控訴審判決は、公安委へは「単に報告されたに過ぎず、特段の意思決定行為もなく、専決への追認を行ったものと評価もできない」などと認定。当時は現地での抗議活動も報道され、派遣決定が「後日紛議を生ずることが予想」される「社会的に反響の大きい事案」で「専決で処理することが許されないものを専決しており、違法であるといわざるを得ない」などと断じた。

(本田雅和・編集部、2021年10月15日号)

 

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