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滋賀県警、冤罪被害者を「犯人視」 
元看護助手による国賠訴訟で問題化した準備書面とは

粟野仁雄|2021年10月15日8:41PM

右から「東住吉事件」で再審無罪となった青木惠子さん、「袴田事件」で冤罪を訴える袴田巌・死刑囚(釈放中)の姉・秀子さん、西山美香さん。9月17日、大阪弁護士会館で。(撮影/粟野仁雄)

滋賀県の湖東記念病院で2003年に発生した男性患者死亡事件の「犯人」として有罪判決を受け、懲役12年の刑に服した後、再審で無罪が確定した元看護助手の西山美香さん(41歳)が、国と県に計約4300万円の損害賠償を求めた訴訟に絡み、県側が患者を「心肺停止状態に陥らせたのは、原告である」と無罪判決を否定する準備書面を大津地裁に提出していた。9月15日付の提出書面を作成したのは県警で、西山さんの代理人、井戸謙一弁護士は「いまだに西山さんが殺人犯であるとの姿勢を崩さず、名誉を毀損するもの。強い憤りを覚える」と非難している。

三日月大造知事も同月17日の記者会見では「報道で知り、本当なのかと思った。西山さんは無罪が確定しており、きわめて不適切。心からお詫びを申し上げます。書面内容を修正する」と謝罪。28日の県議会では滝澤依子県警本部長も、「書面の表現に不十分な点があり、関係者の心情を害したことについて改めて県警を代表してお詫び申し上げる」と述べ、表現については訂正を約束した。

書面は本部長が決裁した。県庁サイドは「県警から知らされていなかった」と手続き的瑕疵を強調するが、かりに準備書面の内容が知らされていたら、知事や担当部局が修正できていたのだろうか?

批判を受けた県警は「心肺停止状態にさせたのは原告である」の文面に「と判断する相当な理由があった」を付けるなど修正し、宮脇和行監察官室次席が「事件当時の県警の考えを説明したつもりだった。無罪判決は重く受け止めている」と釈明した。しかし、これについても西山さんは「批判された部分を訂正しただけ。県警の考えは全然変わっていない。傷つけられたし、余計に馬鹿にされた感じです」と不信をあらわにした。

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