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東京地裁、被差別部落の地名一覧公表を差し止め 
プライバシー権侵害認める

平野次郎|2021年10月8日4:58PM

【「半端な判決」との批判も】

ただし、原告らのうち住所や本籍が部落内にあることを広く知られているか、不特定多数の人に知られることを容認している者や、自身の住所や本籍が地名一覧に記載された地域に属していない者についてはプライバシーを侵害するとは認められないとして、プライバシー侵害が認められる原告の住所や本籍がある都府県に限定して差し止めを認めるべきだと断定。「全国部落調査」に記載される41都府県のうち25都府県に限って差し止めを認めた。

判決後に開かれた原告側の報告集会では、判決が被告らの行為を不法と認定して地名一覧の公表を差し止めたことは「勝訴」と評価する一方、「極めてわかりにくい判決」「半端な判決で納得できない」などの批判の声が相次いだ。

原告団代表の片岡明幸・部落解放同盟中央執行副委員長は「プライバシーを侵害される原告がいるかいないかによって、それらの原告が属する都府県の地名一覧公表を差し止めるか差し止めないかを判定するのは納得できない。公表すること自体が差別を生むという認識に立っていない」と述べた。

公表差し止めからはずされた千葉県内の解放同盟員は、半年前から示現舎の「部落探訪」によって部落内の映像がネットに晒されているが、法務局に削除を要請しても動いてくれないと説明。「そのうえに、県内の部落の地名一覧が公表されたらどうすればいいのか」と不安を訴えた。

一方、被告側の宮部龍彦・示現舎代表は筆者の電話取材に「裁判官は『地名一覧の公表を差し止めるよう』どこからか圧力をかけられていたのではないか。初めから結論ありきの判決だ。かといってすべてを差し止めしなかったのは形式的で論理的にもおかしい」と答えた。

(平野次郎・フリーライター、2021年10月8日号)

 

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