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東京地裁、被差別部落の地名一覧公表を差し止め 
プライバシー権侵害認める

平野次郎|2021年10月8日4:58PM

東京地裁前で「勝訴」などと書かれた用紙を掲げる原告側弁護士。(提供/解放新聞社)

被差別部落(以下、部落)の地名や所在地などを一覧できる「全国部落調査」をインターネット上に公表して書籍化するのは差別を助長し拡散するとして、部落解放同盟と部落出身者ら234人が川崎市の出版社「示現舎」を相手取った訴訟の判決が9月27日、東京地裁であった。成田晋司裁判長は、地名一覧の公表により結婚や就職などで差別を受ける恐れがあるとして原告の大半のプライバシー侵害を認め、一部を除き同調査のネット公表と出版を禁じるとともに、示現舎代表に計約490万円の賠償を命じた。

判決は、被告側の「公開差し止めは研究や表現の自由を侵害する」との主張について、「研究に必要かつ相当な限度で本件地域情報の一部を引用することまで妨げられるわけではない」として退け、「公開の公益目的」も認めなかった。また、原告主張の「差別されない権利」については、「内実が不明確」として退けた。原告、被告とも控訴する方針だ。

訴状などによると、「全国部落調査」は戦前に刊行された政府関係機関の報告書で、41都府県の約5360部落の所在地や世帯数、職業などを記載している。示現舎は2016年2月、この報告書の復刻版を出版、販売すると告知する一方、その内容を電子情報化してウェブサイトに公表するなどした。このあと原告側の申し立てによって横浜地裁が出版差し止め、同地裁相模原支部がサイトの記事削除をそれぞれ命じる仮処分を決定し、原告側が本訴を提起した。

裁判で原告らは、地名一覧が公表されると身元調査などの差別に晒され、原告らのプライバシー権や差別されない権利などが侵害されると訴えた。判決は、個人の住所や本籍が部落内にあることを他者に知られると差別を受けたり誹謗中傷されたりする恐れがあり、住所や本籍は他人に知られたくないプライバシーに当たると指摘。そのうえで、地名一覧を公開する行為は個人の住所や本籍と対照する調査を容易にすることから、個人の住所や本籍が部落内にあることを公表する行為と同様にプライバシーを侵害するとした。

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