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性犯罪規定の再改正を!
「性交同意年齢引き上げで冤罪が増えると言うこと自体が、女は嘘をつくというジェンダーバイアス」

小川たまか|2021年10月4日9:16PM

被害当事者団体などがさらなる改正を求めている刑法の性犯罪規定について、法務省は9月16日、法制審議会に諮問を行なった。諮問は10項目にわたり、性交同意年齢や公訴時効など前回の改正でも議題に上がっていた点に加え、わいせつ目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)の処罰や、性的姿態の撮影行為についての適切な処罰規定なども盛り込まれた。

性暴力の被害者や支援者らは「#10年は短すぎる」と性犯罪の時効撤廃についても訴えている。2021年3月8日、法務省前で。(撮影/小川たまか)

この諮問に合わせ、同日にNPO法人ヒューマンライツ・ナウがオンライン上で緊急記者会見を実施。会見には、2017年に自らの被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんや、中学校時代の教員から性暴力を受け裁判を起こした写真家の石田郁子さんら当事者も参加した。伊藤さんは「皆さんの力で進めた時計の針を戻さないように審議してほしい」と発言。石田さんは、自身が受けた行為が性被害だと気づいたのは30代になってからだと話し、公訴時効の撤廃や地位関係性を利用した性暴力の規定について教師と児童・生徒を入れることを求めた。

このほか、大阪大学大学院法学研究科の島岡まな教授は、性交同意年齢の引き上げに反対する人の中に「冤罪が増える」という主張があることを挙げ、「冤罪が増えると言っていること自体が、女は嘘をつくというジェンダーバイアス、アンコンシャスバイアスが入っていることを自覚していただきたい」「冤罪防止を言うなら、人質司法の廃止や被疑者段階での取り調べの可視化を100%達成することが先。性犯罪の範囲を絞るのは一番後のはず」と指摘した。

「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」の周藤由美子さんは、性暴力被害者のためのワンストップセンターで被害相談を受け警察にもつないできた経験から「同意年齢を引き上げた場合に10代同士の同意のセックスが裁かれるのではと懸念する声があるが、そこは現在と同じく警察や検察などで現実的な判断がされるだろう」と解説した。

今後、法制審議会の検討委員が発表される見通しだ。

(小川たまか・ライター、2021年10月1日号)

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