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日本で育ったクルド難民申請者、彼らの夢を誰がつぶしたのか
田中喜美子 日向史有|2021年9月9日11:58AM
日向 無期限の長期収容は、本当に心身ともにつらい。撮影する中で、初めて入管に面会に行ったのが、オザンのいとこのイボくんでした。彼は2回目の収容をされていた18年に、自殺未遂をした。鉛筆削りを壊して、その刃で、身体中切り刻んでシーツが血だらけになったそうです。19年にはラマザンの叔父にあたるメメットさんが収容所の中で倒れて、心配した家族が救急車を2回呼んだが、入管はその救急車を追い返したということがあった。このシーンは映画にも出てきます。無期限の長期収容は、被収容者はもちろんですが、家族もつらいし、面会を続けた僕自身も彼の苦しみを目の当たりにして本当につらかった。
田中 やっぱり被収容者の移動や通院の際に手錠・腰縄をつけることに、疑問を持たないような国はおかしい。映画には「帰ればいいんだよ。他の国行ってよ」と嘲笑混じりに言う入管職員の声も記録されている。非正規滞在は悪で、どう扱ってもいいんだという精神。この入管マインドをなくさないと。
日向 1・5世代、2世代目にしっかり在留資格を与え、きちんと働いてもらって税金を払ってもらったほうが、双方が幸せだと思います。しかし、日本は日本人のもので、日本人だけで調和が取れているから、外国人に入ってほしくないというような精神性が日本には蔓延っていて、多分僕の中にもどこかあるかもしれません。日本人一人ひとりが自分の問題としても、目を向けて考えてほしいです。
(文中、一部敬称略)
司会・まとめ、プロフィール写真の撮影/スティーブン・マキンタヤ(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)
(2021年8月27日号)