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日本で育ったクルド難民申請者、彼らの夢を誰がつぶしたのか

田中喜美子 日向史有|2021年9月9日11:58AM

在留資格がない=選択肢がないという問題

日向 史有
ひゅうが ふみあり・映画監督。1980年、東京都生まれ。2006年、ドキュメンタリージャパンに入社。15年、欧州へ向かう大勢のシリア難民を含む「難民危機」を機に日本の難民の状況を調べ、その中で日本のクルド難民申請者と出会う。「となりのシリア人」(16年)など、いくつかドキュメンタリー作品を制作。5年間クルド青年を撮影した映画『東京クルド』を21年に発表。同映画の短編版『TOKYO KURDS/東京クルド』(17年)はTokyo Docsショートドキュメンタリー・ショーケース優秀賞を獲得。

――ラマザンの家族のように、一部の家族にだけ正規の在留資格が出される状況を、「地位混合家族」と呼んだりします。近年クルド人の子どもの在留特別許可(在留資格を出すかの判断)を求める裁判がいくつか提起されていて、背景には、ラマザンやオザンのような1・5世代(幼少期に来日)、または2世代(日本生まれ)の中で、10年以上滞在して、日本の学校に通い、ラマザンのように高等教育まで受ける若者が増えたことがある。仮放免のままでは就労もできなければ、健康保険にも入れませんから。

田中 いろんな家族がそういう状況(地位混合家族)にされていますね。そもそも仮放免者の就労を禁じること自体が、労働する権利を奪う、日本政府による人権侵害だと私は感じています。仮放免者たちがみなしぶとく、一生懸命、日本人がやりたがらない解体の現場などで働いているという事実はきちんと認めるべきだと思います。

日向 たとえば、仮放免状態のオザンのお父さんは、日本人と同等、もしくはそれ以上にまじめで誠実であろうという意識のもと、解体業に必要なさまざまな資格や免許を取って、ちゃんと働いています。オザンも誇りをもって解体業で働いている。問題は、在留資格がないので、選択肢がないこと。

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