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福島の小児甲状腺がん検査縮小論にNPO法人が要望書 
「縮小ではなく充実を」

本田雅和|2021年6月18日9:16PM

小児甲状腺がんを発見するための甲状腺エコー検査=2013年6月、福島県内で。(撮影/本田雅和)

東京電力福島第一原発事故後に甲状腺がんと診断された18歳以下(事故当時)の子どもたちに療養費を給付してきたNPO法人3・11甲状腺がん子ども基金(代表理事=崎山比早子・医学博士)は5月31日、福島県が続けてきた甲状腺検査の専門家委員会などで検査縮小論が出ていることを受け、当事者アンケートの分析などをもとに「検査は早期発見・早期治療に役立っており、縮小ではなく継続・充実化を図ってほしい」とする要望書を県に提出したと発表した。

これまで福島県が公表しているだけでも、当初の予想を大幅に上回る250人を超える若年の甲状腺がん患者が見つかっており、県の委員会などでは「放置しておいてもよい軽度のがんを一斉検査によって過剰に発見している」とする検査縮小論が浮上している。

子ども基金は同日、記者会見し、10年前に福島市内で被災し、4年前に甲状腺の半摘手術を受けた大学生の林竜平さん(20歳)も出席。「僕の場合は(腫瘍が)声帯に近く、発見が遅れていたら声が出なくなってこうして話せなかったかもしれない。重症化して全摘手術になっていた可能性もある。県の一斉検査には救われたし、感謝している。不必要な手術をしたかのような過剰診断論や縮小論はふざけている」と反発した。

崎山さんらは県立医大での手術例180件、基金に申請があった県民の手術例110件を分析し、「県外の専門病院で自覚症状が出てから受診した手術などではがんが進行した状態で全摘例が5割に上るのに、県内の全摘例は10%前後」と指摘。「一斉検査は患者の予後の向上にも資する。過剰診断論に科学的根拠はない。発見が遅れれば他県のように肺などへの遠隔転移や重症化が増える危険もある」と警鐘を鳴らした。

同県県民健康調査課は取材に対し「検査縮小を前提とした議論はしておらず、専門家のさまざまな意見を聞きながら議論を見守っていく」と答えた。

(本田雅和・編集部、2021年6月4日号)

 

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