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名古屋市長選を振り返る 疑惑の河村たかし氏辛勝で市政運営に暗雲

井澤宏明|2021年5月21日2:12PM

当選確実の報を受け、支持者に水を掛けられ喜ぶ河村たかし氏。(撮影/井澤宏明)

名古屋市長選挙は4月25日に投開票が行なわれ、現職の河村たかし氏(72歳)(減税日本推薦)が、元市議会議長の横井利明氏(59歳)(自民、立憲民主、公明、国民民主推薦)らを破り、出直し選を含めて5度目の当選を果たした。署名偽造事件に発展した、大村秀章・愛知県知事へのリコール運動の「顔」となったことによる逆風の影響を何とかかわした格好だ。

25日午後10時前、当選確実の報が飛び込むと、河村氏は名古屋市東区の事務所前に横付けされたトレーラーの特設舞台に上がって満面の笑みで支持者の歓声に応え、「名古屋のコロナ対策は日本一」などと自画自賛してみせた。

署名偽造事件が争点になったことについて代表取材で問われると一転、険しい表情になり「あんなのは私は全然関係ないし、リコールは大変重要なことだったんですよ」とし、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に昭和天皇の肖像のコラージュが燃える映像作品が展示されたことを批判。「私は名古屋市民、愛知県民の税金と名誉を守った」と主張し「大村さんは自分の金で、自分で主催して、どっかの画廊でやりなさい」と敵意をむき出しにした。

「選挙モンスター」と称されてきた河村氏の得票率は51・7%(39万8656票)。横井氏と4万7945票差だが前回の67・8%を大幅に下回った(投票率は前回より5・2ポイント高い42・1%)。朝日新聞社など7社による出口調査では署名偽造を投票の際「考慮した」は51%、そのうち57%が横井氏に入れたとしており、結果に影を落としたことは否めない。

自身率いる「減税日本」が国政選挙で頼みとする「日本維新の会」との関係は署名偽造事件でギクシャクし、コロナ禍で協力しなければならない大村知事は横井氏を応援、確執は収まりそうもない。「議員生活協同組合」と批判した議会多数会派との対立も続く中、「最後の奉公」の4期目に突入する。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2021年4月30日・5月7日合併号)

 

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