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短大生を襲うコロナ禍での就職難

鷲尾香一|2021年5月2日4:28PM

コロナ禍での雇用への影響で特徴的なのは“休業者”の増加だ。政府の緊急事態宣言や自粛要請などによって、会社側からの要請による休業が多数にのぼった。その数は20年4月には597万人に及んだ。この中には“失業者予備軍”が多く含まれていたことだ。

さらに、労働力調査では仕事をしておらず、「1カ月以内」に求職活動を行なった人を「失業者」と括り、その中で求職活動が「1週間以内」の人だけを「完全失業者」としている。

つまり、雇用状況の目安としている完全失業率は“非常に狭い範囲”を対象とした統計なのだ。そのうえ、求職活動期間が1カ月を超えれば“失業者”ではなくなってしまうのだ。

はたして、コロナ禍の中で、わずか1カ月間で希望する仕事が簡単に見つかるものだろうか。仕事をしたくても、見つからない人は多いだろう。これではコロナ禍で本当に仕事を失った人が何人いるのか、正確な数字を捉えるのは極めて難しいだろう。

コロナ禍の影響は新卒の学生にも及んでいる。文部科学省と厚労省の20年12月1日時点の調査によると、大学、短大、高等専門学校の21年3月卒業見込みの就職内定率は80.6%となっている。12月1日時点の調査では、19年3月卒の就職内定率は87.2%、20年3月卒は86.2%だったことから、大きく低下している。

特に就職難に直面しているのは短大で、19年卒が75.6%、20年卒が72.0%だったのに対して、21年卒業見込みは57.6%と大幅に悪化している。政府は雇用の安定に全力を尽くすべきだ。

(鷲尾香一〔本名・鈴木透〕・元ロイター通信編集委員。2021年3月12日号)
※大型連休にあわせて過去記事を掲載します。

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