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セブン契約解除問題で本部が強硬手段 
駐車場に仮店舗建設開始

粟野仁雄|2021年4月26日6:31PM

セブン本部が仮店舗建設を始めた駐車場。奥が松本さんがオーナーだった店の屋根。(撮影/粟野仁雄)

大阪府東大阪市にあるセブン-イレブン東大阪南上小阪店が24時間営業を拒否して時短営業を実施し、フランチャイズ契約を解かれた問題で、同店元オーナーの松本実敏氏(59歳)に店舗明け渡しの訴訟を起こしているセブン-イレブン・ジャパン本部(東京)が、同店駐車場の敷地で仮店舗の建設を4月1日から始めた。

同本部は「災害時の支援物資提供を通して地域に貢献する責務がある」(広報センター)として、松本氏が明け渡さない場合に仮店舗を建設するとの上申書を3月25日付で大阪地裁に提出。工事強行については「周辺住民から営業再開を希望する声がある。土地も本部が地主から借りているもの」(同)。4月末頃に営業を開始し、訴訟の判決確定後は内容に関係なく仮店舗を解体する予定という。

これに対して松本氏は「係争中の強行突破は違法。不当な工事はやめて法律の下で争うべきだ」と怒る。松本氏は19年2月、人手不足のため24時間営業をやめたところ同本部から契約を解除され、これを「時短営業への意趣返しで、他の店舗のオーナーへの見せしめにするための不当な契約解除」としてオーナーとしての地位確認などを求める仮処分申請を20年1月に大阪地裁に行なった(昨年1月31日号参照)。同本部も「契約解除の理由は時短営業ではなく、松本氏の接客態度などへの苦情が多くブランドイメージを傷つけられたこと」(同)として店舗明け渡しを求める仮処分申請を起こした。

松本さんの「24時間営業拒否」はコンビニ店主の「無休労働」やフランチャイズ契約のあり方に一石を投じ、8割近い店で深夜帯は赤字なのに店を開けさせてきたことを大手コンビニが見直す契機になった。その後、大阪地裁は昨年9月に前記いずれの申請も却下し、現在は双方が本訴で争っている。仮店舗建設への対応も気になるが、松本氏はこの件について仮処分申請などの考えはなく「本訴のほうに全力を集中したい」と話す。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2021年4月9日号)

 

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