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最高裁判事の女性比率3割に!
今年退官する判事の後任に女性を求めるアクション

宮本有紀|2021年3月6日9:00AM

「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう」目指すとした第5次男女共同参画基本計画(20年12月閣議決定)では、司法分野の取り組みとして「最高裁判事も含む裁判官全体に占める女性の割合を高めるよう裁判所等の関係方面に要請する」とある。

女性差別撤廃条約を法規範として裁判に直接適用することや選択議定書の批准を目指す「女性差別撤廃条約実現アクション」では、今年これから交替する最高裁判事の後任をすべて女性にするよう大谷直人最高裁判所長官など関係機関に要請することを2月24日に公表した。

2015年12月16日、夫婦別姓訴訟の上告審判決で合憲と初判断した最高裁大法廷。判事15人中、女性3人と男性2人の合計5人は違憲と判断した。(提供/共同)

最高裁判事のうち5人が今年退官予定で、林景一氏は2月に退官。後任にはすでに元外交官の長嶺安政氏が任官している。そのため7~8月に退官予定の池上政幸、小池裕、木澤克之、宮崎裕子各氏の後任に女性を求めるという。実現すれば任期中の岡村和美氏とあわせ5人が女性となる。

同アクション共同代表の浅倉むつ子氏は、ジェンダー平等実現に背を向ける近年の最高裁判決として、◆男女で明らかな昇格差があるのに性差別が立証できないとして上告棄却した中国電力事件(2015年)◆夫婦同氏を強制する民法規定を合憲とした大法廷判決(15年)◆高裁が認めた非正規労働者の賞与(正規労働者の6割支給)を取り消した大阪医科薬科大学事件(20年)◆同じく非正規労働者の退職金を不支給としたメトロコマース事件(20年)◆一審が認めた企業のマタニティハラスメントを取り消した高裁判決を確定させたジャパンビジネスラボ事件(20年)を例示。

「女性差別撤廃条約実現アクション」キックオフ集会で話す山下泰子氏。2019年3月5日、東京・永田町で。(撮影/宮本有紀)

「15年の選択的夫婦別姓訴訟の判決は、女性判事3人全員が違憲と判断し、(改姓という)女性の経験が判断の違いとなったケース。そういう意味で女性裁判官が増えることは意味がある」などと解説し「ジェンダー不平等の日本を変えていくためには司法のトップからの変革が必要」と訴える。

国際女性の地位協会の山下泰子氏(同アクション世話人)も「最高裁は人権保障の最後の砦で、少数者の権利保障がその目的。ジェンダーバランスがとれてこそ少数者たる女性たちの人権が国際基準で守られるのではないか」と話す。

同アクションは最終的にはパリテ(男女半々)を望むが、まずは5人(33%)の女性判事を求める。3月1日時点でアクション参加は56団体で賛同は29団体。3月7日まで賛同団体を集め、その後要望書を最高裁などに提出する予定だ。

(宮本有紀・編集部、2021年3月5日号)

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