【「都議会のドン」との密約は？】

31日の当確発表後、囲み取材で「小池知事が公務で選挙活動をしたに等しいと思うが」と聞いた筆者に、樋口氏はこう反論した。

「そちらでどうお考えになっているか分かりませんが、当然、私は現職の都議でありましたし、地域の悲痛な声を聞いておりました。そこで『是非、保健所を見ていただきたい』と緊急要望をしまして、これをすることが何の問題があるのか。私にはわかりません」

また「都議会のドン」と呼ばれ、小池氏に「区政を牛耳っている」と知事初当選時より批判を受けていた自民党の内田茂元都議と小池氏が、今回は選挙協力で手を組んだ（今年７月の都議選では千代田区に都民ファ候補を立てないことを交換条件に樋口氏を支援した）のでは、との密約説についても聞いたが、「週刊誌報道で（そういうものが）あったと承知していますが、私自身はまったくありません。都議選で千代田区から都民ファが候補を出さないことはないと思います」と、樋口氏は否定した。

小池知事にも飯田橋駅前での街宣後に同じ質問をぶつけたが、無言のまま車に乗り込んだ。

４年前の千代田区長選では小池知事が支援する石川区長が圧勝し、都議選で自民党を惨敗に追い込む発端となったが、今回も緒戦の千代田区長選で小池知事が勝利。内閣支持率急落の菅義偉政権を尻目に存在感を見せつけた格好だ。

（横田一・ジャーナリスト、2021年2月12日号）