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ビルマ(ミャンマー)で一時拘束された邦人ジャーナリストの現地報告

北角裕樹|2021年3月1日6:13PM

2月9日、ヤンゴンのマハバンドゥーラ公園前に並ぶ警官隊の前で抗議の声をあげる市民ら。(撮影/北角裕樹)

ビルマ(ミャンマー)国軍によるクーデターから2週間を経た2月14日現在、当地では連日数万人規模の抗議デモが行なわれている一方で、夜間には警察による市民に対する取り締まりが強化されている。軍事政権による恩赦で2万3000人以上の受刑者が出所していることから、治安の悪化を懸念する声が高まっており、住民らの間に自警団を組織して街を警備する動きも出ている。

【自警団が不審者を追い回す】

13日の21時頃、ヤンゴン西部のアパート団地内で鍋や釜を打ち鳴らす音が響いたかと思うと、角材などを手にした自警団の男性数人が駆け出してきた。逃げる不審者を追い回しているのだ。この夜、同地区では深夜までに3~4回、こうした捕り物劇がみられた。

どうして住民らはこんなにもおびえているのか。大きな理由は、「治安の悪化」を掲げて警察が取り締まりを強め、それを口実にクーデターに抗議するデモやストライキに参加している公務員や一般市民を夜間、警察が連行していく例が続出していることだ。それに対して市民らが鍋などを打ち鳴らして助けを求める動画がフェイスブックなどで拡散しているのだ。

クーデターで政府の全権を掌握したミンアウンフライン国軍総司令官が、全国各地の刑務所の受刑者2万3314人に恩赦を与え、釈放すると12日に発表。釈放された受刑者が各地で放火や盗みをしているとのうわさが広まり、住民らが恐怖を感じているのだ。

13日には国軍の戦車がヤンゴン市街地を走りまわるなど、国軍側も圧力を強めている。政権は法改正を行ない、捜査当局が令状なしで身柄拘束ができるようにした。

こうした中で各地域では、若い男性が中心となって自警団が結成され、バリケードを築いたり、夜間にパトロールしたりという活動が行なわれている。不審者が見つかったり、抗議デモ参加者が警察に連行されたりするたびに金物が鳴り響くので、怖くて寝られないという人も多い。

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