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台湾大から移管の琉球遺骨、沖縄県教委が計測調査 
祭祀承継者ら「違法」と抗議

平野次郎|2020年10月12日12:17PM

「沖縄県教委の背後に京都大学の影が」と話す松島泰勝龍谷大学教授。(撮影/平野次郎)

戦前、旧京都帝国大学(現・京都大学)の人類学者が沖縄の風葬墓から持ち去った遺骨の返還を京大に請求する訴訟(京都地裁で審理中)の原告らは、京都帝大から植民地下の旧台北帝国大学(現・台湾大学)へ移された遺骨についても祭祀承継者として返還を求めている。

2019年3月、台湾大は原告らの訴えに応じ遺骨を沖縄県に移管したが、沖縄県教育委員会は「学術資料」として保管。原告らが再風葬を求めるのに対し、県教委は今年8月18日、遺骨の計測調査を実施していることを明らかにした。原告らは教育長に「文化財に指定されていない遺骨を調査するのは違法」として計測中止を求め抗議したが、教育長は9月3日「調査終了後も再風葬は行なわず、適切に保管する」と回答した。

原告らが返還を求めているのは、1928~29年に京都帝大医学部の金関丈夫助教授らが沖縄県今帰仁村の百按司墓から持ち去ったとみられる遺骨59体。このうち26体を京都大が現在も保管し、あとの33体は金関助教授が台北帝大教授赴任の際に移した。今回、台湾大から返ってきた遺骨は、百按司墓33体のほかに沖縄の他の墓から収集された30体。計63体の遺骨を沖縄県立埋蔵文化財センターが保管している。これに対し原告らは公開質問状を提出するなどの返還運動を展開。今年6月30日の教育長回答は、計測調査によって地域性や系統などの情報を得て考古学や人類学の基礎研究に役立てるとしている。8月になって原告らの問い合わせに県教委は県立埋蔵文化財センターで7月2日から遺骨の計測調査を実施したがコロナ禍で一時中断していると述べた。

原告団長の松島泰勝龍谷大学教授は「原告を祭祀承継者と認めないなど県教委の主張は京都大の裁判での主張と重なることが多い。遺骨の計測は日本人類学会などが日本人起源論を研究するヤポネシアゲノム・プロジェクトにつながるのではないか」と批判する。

(平野次郎・フリーライター、2020年9月18日号)

 

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