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青年法律家協会・弁護士学者合同部会設立50周年集会

本田雅和|2020年10月12日12:01PM

半世紀にわたる弁護士活動の原点を語る阪口徳雄(右)、梓澤和幸の両氏。(撮影/本田雅和)

戦後の司法反動の流れに抗し、憲法の平和と民主主義、基本的人権の理念を守ろうと若手研究者や弁護士、裁判官らが組織した青年法律家協会(青法協)の弁護士学者合同部会の設立50周年記念集会が、9月4日、東京・神田で開かれた。

青法協に加入したり、賛同したりしていた裁判官志望の司法修習生への任官拒否が相次いでいた1971年4月の修習終了式で、「任官拒否された人たちの話も聞いてほしい」と発言しただけで「修習生の品位を辱めた」として罷免され、法曹資格を奪われた経験を持つ阪口徳雄弁護士(77歳)=大阪弁護士会=が語った。

罷免に加えて、青法協会員裁判官への思想攻撃や人事差別の実態、それに対する広範な市民による阪口救援運動、最高裁裁判官の国民審査での批判票急増の中で、2年後に資格を取り戻した体験を報告。自衛隊違憲が問題となった長沼訴訟での裁判干渉(平賀書簡事件)や司法研修所教官による差別発言など、当時の時代状況も説明した。

司法研修所教官が障害を持つ任官希望者に「君は(障害で)背が低いが、裁判官席に座ったら傍聴席から顔が見えるか」と発言したり、「裁判官に女性は要らない」との考え方で女性修習生へのさまざまな志望変更誘導が行なわれたりした。これらが阪口弁護士ら同期修習生の運動の中で明るみに出され、告発されていった。

「裁判所がまだ古い風土にあったこともあるが、そこに戦前からの思想統制の体質をもつ石田和外という人物が最高裁長官に就任(69年)。直後から青法協脱退勧告などで会員を排除しようとする動きは強まった。法曹が憲法に基づき人権を守ろうとするのは自然な流れで、裁判官の中にも青法協会員は多かったからだ」と阪口氏は分析。法曹資格を取り戻し、弁護士になって以降は、政治家の「闇資金」の情報公開や大企業の「裏金」の追及に力をいれ、森友問題でも実績をあげた。

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