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安倍政権支えた「鉄の三角形」温存される 
野党合同新党の闘い始まる

木下ちがや|2020年9月16日2:27PM

菅義偉氏が苦杯を嘗めた2018年沖縄県知事選。当選に沸く玉城デニー氏ら。(撮影/初沢亜利)

およそ8年間にわたる安倍政権の支配の下で、投票率は劇的に低下し、議会制民主主義は破壊され、政治不信だけが世論を覆う結果となった。ただ、今必要なことは、安倍首相の退陣により安倍政権の「システム」が終わったわけではないことをしっかり認識することだ。安倍首相が退陣しても、「システム」を壊さない限り安倍政権の支配は終わらないのだ。

「一強多弱」といわれた、与党に対する野党の圧倒的劣勢だけが安倍政権の長期支配を許したわけではない。政権維持だけが目的化した後半期は、二階俊博幹事長による党内支配、菅義偉官房長官による官僚支配、麻生太郎副総理による財務省支配という「鉄の三角形」の均衡のうえで成り立っていた。2018年9月の自民党総裁選における安倍3選は、この鉄の三角形が対抗馬である石破茂氏の封じ込めで結束したことで果たされた。そしてこの時から「ポスト安倍」をめぐるこの3者の攻防が開始されていたのである。

天皇の代替わりがあった19年初旬には菅氏が次期首相候補として浮かび上がってきていた。菅氏は令和ブームに乗り、初の外交デビューを果たすなど、次期首相に向けた基盤を固めようとしていた。

それに立ちふさがったのが麻生副総理である。「世襲」「血統」にこだわる麻生氏は菅氏の首相就任を断固認めようとはしなかった。19年末に、菅官房長官の側近である菅原一秀氏、河井克行氏のスキャンダルが暴露され、両氏は大臣辞任に追い込まれた。この暴露は、20年に入り黒川弘務検事長(当時)の検事総長就任をめぐるスキャンダル暴露にまで及び、菅官房長官は権力を失い、新型コロナ対策からも排除されることになった。このように「鉄の三角形」は麻生、菅の対立の激化により崩壊したかのように思われていたのだ。

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