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『読売』を元販売店主が提訴 
「押し紙」めぐる司法判断に変化か

黒薮哲哉|2020年9月11日12:20PM

原告弁護団が訴状の別紙として提出した月ごとの部数内訳をもとに作成。仕入れ単価は月間1部あたり1845円。「押し紙率」の平均は49.47%。

全国で多発してきた「押し紙」裁判に変化の兆候が表れている。「押し紙」とは何かという根本的な定義の問い直しが始まっているのだ。こうした潮流の中で『読売新聞』の元販売店主が「押し紙」により被害を受けたとして、読売新聞大阪本社(柴田岳社長)に対し約4120万円の損害賠償を求める裁判を8月7日付で大阪地裁に起こした。代理人は早い時期から「押し紙」問題に取り組んできた江上武幸弁護士ら「押し紙」弁護団が担当する。

原告の濱中勇志さんは、広島県福山市で2012年4月から6年あまり「YC(読売センター)大門駅前」店を経営していた。今年8月8日付で大阪地裁(第24民事部)が受理した訴状によると、請求の対象期間は17年1月から18年6月までの1年6カ月。この間、読売新聞大阪本社が供給した新聞の約5割が残紙となっていた。

原告弁護団が訴状の別紙として提出した月ごとの部数内訳(表参照)によると、同社は、読者数の増減とはかかわりなくYC大門駅前に対して、毎月2280部の新聞を供給していた。筆者は各地で「押し紙」裁判を取材してきたが、供給部数が1年半にもわたってロック(固定)されていた悪質なケースは今回が初めてだ。

従来「押し紙」とは、新聞社が販売店に対して買い取りを強制した新聞とされてきた。したがって販売店は、店舗に残った新聞に押し売りの性質があることを立証する必要があった。が、そのハードルは高かった。というのも経理帳簿の上では、「押し紙」は1部も存在しないからだ。

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