セブン東大阪「時短訴訟」
本部側が元店主を“人格攻撃”
村上恭介|2020年9月9日5:01PM
【「松本裁判を支援する会」発足】
松本さんの時短営業をきっかけに、コンビニオーナーと家族の過重労働は社会問題化したが、それでも業界で24時間営業がほとんど減らないのは、店主たちがFC契約に縛られ、「契約解除」を恐れて本部に逆らえないためだ。
この業界では、異常に高いチャージ(上納金)、特定地域に集中出店させるドミナント戦略、見切り販売(賞味期限切れ前商品の値下げ)の妨害など、本部一人勝ちの構造的問題が山積する。
これらの課題を改善するには、本部と店主との対等な交渉が欠かせない。業界トップ企業を相手取った松本さんの裁判は、その道を開くことが目標の一つであり、裁判所の判断にはオーナーたちの注目が集まりそうだ。
松本さんは、仮処分訴訟で大阪地裁から和解(金銭解決)を打診されたが、「この裁判は私個人の問題ではなく、全国のオーナーに影響する道徳問題」だと述べ、和解を拒否している。
「松本さんの勇気はコンビニ業界の奴隷的な契約を改めさせる大きなチャンス」として、9月19日には「セブンイレブン・松本裁判を支援する会」(会長・宇都宮健児弁護士)が大阪市内で結成される。結成準備会責任者の小林康二さんは「全国五万数千店のコンビニ店主の声を合流させ、社会的発言力を強めるためにも当面1000人の会員をめざす」と話している。詳細は「支援する会」ホームページ(URL https://matsumoto-mitoshi-net.amebaownd.com/)を参照されたい。
(村上恭介・ジャーナリスト、2020年8月28日号)