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コロナ禍があぶり出した経産省と電通のビジネスモデル

佐々木実|2020年8月12日9:31AM

 ところで、委託や外注の取引の連鎖が「ビジネスモデル」である以上、政府相手の取引で利益を最大限引き出す仕組みでなければならない。「協議会」はたんに企業名を隠すだけの役割ではないということだ。

この問題の報道で先行した東京新聞が興味深いエピソードを紹介している。

「当初、経産省は再委託先や外注先を明らかにせず、情報公開に消極的で、中小企業庁の担当者は『民民(民間同士)の契約だから公表できない』と本紙の取材を突っぱねた」(『東京新聞』6月9日付朝刊)

国の取引相手を「協議会」にすれば、後ろに隠れる受注企業は(たとえ企業名がばれたとしても、契約内容や事業に要する諸費用などいっさいの情報を公開せずに済み、「民間委託」をブラックボックス化できる。「民間同士の契約だから公表できない」というわけだ。なにしろ、経産省は監視役ではなく、一枚噛むプレーヤーなのである。

はからずも持続化給付金は、「民営化」の潮流にのって巨大市場をつくりだした民間委託事業の実態を浮きぼりにした。公的サービスを「民」に委ねれば必ずコスト削減できる、というのは神話に過ぎない。コロナ禍が炙り出したのはむしろ、「官から民へ」のかけ声が新たな伏魔殿を育んでいたという“想定外の事実”である。

(佐々木実・ジャーナリスト。2020年6月19日号)

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