スーパーシティ法の廃止求めるオンライン署名開始
個人情報の一括管理危惧
稲垣美穂子|2020年7月7日3:57PM
「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」、いわゆる「スーパーシティ法案」が5月27日に国会で成立した。昨年廃案となった法案だが、今年2月4日に再提出され、衆参合計11時間という超短時間で十分な議論もなく、多くの市民が知らない間に採決された。これを受け、議員による同法廃止法案の国会提出を後押しすべくオンライン署名が立ち上がっている。
「スーパーシティ」とは国(内閣府)・企業・自治体で構成される「ミニ独立政府」が住民の個人情報を集中管理したうえ、人工知能(AI)やビッグデータを活用し、住民が抱える課題を解決する「まるごと未来都市」を目指す構想だ。各分野間がデータ連携することで医療・介護・教育など5分野以上のサービスがいつ、どこでも受けられるようになるという。
しかし現在、分野ごとに本人の同意のもと行なわれている個人情報の提供が初めて一括管理・利用されようとしているにも拘わらずプライバシーや住民合意の確保について何ら担保はない。たとえば同法が定める「先端的区域データ活用事業活動」に必要と判断されれば企業は国や自治体、公共機関に個人情報の提供を求めることができ、国も公益を害さなければ本人の同意もなく企業に提供できるとさえしており、自身は知らないまま個人情報のやりとりがなされる恐れがある。さらに、前記の事業等の詳細を決める「区域会議」を国・自治体・企業で構成するとしているが、法律上、そこに住民の参加を義務づける規定はない。
最先端技術の活用を必要とする人もいるだろう。だが利便性という大義のもと、運用する側も説明のできない構想に多額の税金が投入されようとしている。このように拙速に成立した法律をただちに廃止に追い込むためにも、声を上げていくことが重要だ。同署名では10万筆の賛同を目指している。
(稲垣美穂子・フリーランスライター、2020年6月12日号)