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首脳会談から20年、南北緊張高まる 
なぜ北朝鮮は連絡事務所を爆破したのか?

2020年6月29日7:16PM

金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長。(写真提供/AP・AFLO)

2000年6月15日、初の南北首脳会談を経て共同宣言が発表された。それから20年後、脱北者団体のビラ散布をきっかけに南北の緊張が高まっている。悪化の要因と北朝鮮の真意を探る。

6月16日午後2時50分ごろ、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は開城にある南北共同連絡事務所を爆破した。同事務所は、2018年4月27日の「板門店宣言」を受け、南北当局者間協議のために同年9月に建てられたもので、韓国側が建設費用170億ウォン(約15億円)を負担した。文在寅政権にとっては対北政策の成果を象徴する建物だった。金正恩朝鮮労働党委員長の妹で党第1副部長の金与正氏は17日の談話で、文在寅氏が6・15共同宣言20周年記念行事に寄せた南北関係の停滞を認めるビデオメッセージの内容を痛烈に批判した。「朝鮮中央通信」は同日、韓国が特使派遣を提案したことを暴露し、金与正氏が拒否したことを明かした。

発端は5月31日に、韓国に住む脱北者団体が金正恩氏を批判するビラを散布したことだ。金正恩氏は「偽善者」という内容で、「最高尊厳」(北朝鮮で最高指導者を指す)を冒涜するものだった。金与正氏は6月4日の談話で南北共同連絡事務所の閉鎖などを断行すると宣言。同9日、北朝鮮は南北間のホットラインを閉鎖した。韓国統一部は10日、二つの脱北者団体の代表2人を南北交流協力法違反容疑で警察に告発することを発表し、11日には韓国大統領府がビラ散布への「厳重な対応」を表明した。だが、時すでに遅し。韓国の金錬鉄統一部長官は南北関係悪化の責任を取って辞任した。

【なぜ強硬な対応続ける?】

北朝鮮がなぜこれほどまでに強硬な対応を続けるのか。それを探るためには、20年間の南北関係を振り返る必要があるだろう。

2000年6月、韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記は平壌で初の首脳会談に臨み、その成果として6・15共同宣言を発表した。これを機に、南北の経済協力関係は飛躍的に発展した。

その象徴ともいえるのが金剛山観光と開城工業地区だった。1998年から始まった金剛山への韓国人観光客の数は、07年には34万5006人と30万人台を突破した。開城工業地区に韓国企業が進出し始めたのは05年だ。09年には117社に達した。生産額や北朝鮮労働者の数も順調に伸びた。

盧武鉉政権末期の07年10月、2回目の南北首脳会談では、インフラ建設や資源開発の推進など、より具体的かつ踏み込んだ経済協力案を盛り込んだ宣言が発表された。だが、その後2代続いた保守政権下で南北関係は膠着した。金剛山観光、開城工業地区の操業も中断するなど、すべての経済協力関係がストップした。

17年5月、進歩派の文在寅氏が大統領に就任した。翌18年、北朝鮮は動いた。2月、平昌冬季五輪開会式に金与正氏を含む北朝鮮代表団を派遣。4月、3回目の南北首脳会談が実現した。首脳会談は5月と9月にも行なわれた。4月と9月の会談でそれぞれ発表された「板門店宣言」と「9月平壌共同宣言」には、経済協力の促進がうたわれた。特に「9月平壌共同宣言」には、開城工業地区と金剛山観光事業の正常化などに向けた協議の開催が含まれた。

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