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「アビガン」に飛びつく安倍首相 
お友達重視との見方も

吉田啓志|2020年5月21日10:57AM

富士フイルム富山化学公式サイトより

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、安倍晋三首相は富士フイルム富山化学(東京都)の抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナ治療薬として強く推し、税金投入に踏み切った。確かに「救世主」になる可能性は否定できない。それでも臨床的な評価が不確かなうえ、強い副作用も懸念される薬だ。前のめりになる安倍政権に、繰り返されてきた薬害に対する真摯な姿勢はうかがえない。

4月15日、富士フイルムはアビガンの増産に着手したことを明らかにした。生産能力を7月に今の約2・5倍(月産10万人分)、9月には約7倍(同30万人分)に拡大するという。7日、首相が緊急事態宣言後に表明した緊急経済対策に「アビガン200万人分備蓄へ向けた増産支援」が盛り込まれたのを受けた動きで、3月31日には治験に取りかかっていた。7日の記者会見で首相は「観察研究の仕組みの下、希望する患者のみなさんへの使用をできる限り拡大していく」と述べ、2020年度補正予算案に139億円を計上した。

3月、新型コロナウイルスへの効果を示す中国での二つの試験結果を記した論文が公表された。アビガンを投与した患者群と、他のウイルス侵入を防ぐ薬の投与群を比較した結果、患者の回復率はアビガンが71・4%だったのに対し、他方は55・9%などという内容だった。「やはり効くじゃないか」。飛びつく首相に、医師でもある厚生労働省の鈴木康裕医務技監は「安全性が担保されていません」と食い下がった。が、首相は押し切り、3月28日の記者会見で「正式承認に向けた治験プロセスを開始する」とアクセルを踏んだ。

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