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“防災”訓練での自衛隊軍事面PR 
多摩市教委が「不要」と明言

永野厚男|2020年5月18日5:08PM

2019年の総合防災訓練のブースでDVDを紹介する自衛隊員。(撮影/永野厚男)

防災訓練会場の自衛隊ブース展示の、戦車の発砲場面など「軍事的行動を想起させる内容の写真・文書は今回不要なものであったし、多摩市教育委員会として求める内容ではなかった」と東京都多摩市の清水哲也教育長ら教育委員が“防災”便乗軍事宣伝にNOの見解を出した事実が4月6日、請願提出者への取材で明らかになった。

多摩市は東京都と共催した2019年度総合防災訓練に、市立多摩中学校の2年生約150人を参加させた。同年8月31日の校内訓練は役立つ内容だったが、9月1日の多摩センター駅付近での訓練参観では、自衛隊東京地方協力本部の迷彩服の隊員がブース内で多摩中学生を含む児童・生徒を大型軍用バイクに試乗させ、後方で「弾丸を発砲し巨大な白煙が舞い上がる戦車、戦闘機」等の写真展示、募集PRを強行。保護者を含む市民から反発の声が出ていた(本誌昨年9月13日号本欄参照)。

研究者ら市民は今年1月15日、市教委に「防災と無関係な軍事PRや募集活動をする自衛隊に児童・生徒を接触させない」よう求める請願を提出。1月27日の市教委定例会では継続審議、2月10日の同会では不採択になったが、教育委員から主に三点の意見が出た。

一つは「防災訓練は頻発する自然災害に備え、より一層充実が必要」。二つ目は「自衛隊参加は『軍隊としての自衛隊』と『災害等救援隊としての自衛隊』とを分けて考える必要があり、教委としては後者に今後も協力を求めていく」。三つ目が冒頭に引用した見解で、「軍事的行動を想起させる内容の写真・文書」とは昨年の本誌記事でも指摘した、戦闘部隊の写真に「敵を圧倒・制圧します」などと明記した、好戦的な説明文だ。

都教委は13・14年度、都立高2校の生徒に自衛隊駐屯地で、行進訓練を含む宿泊防災訓練を強行。19年度も同4校で自衛隊員に“防災講話”をさせた。これらについても市民らは請願提出の意向だ。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2020年4月17日号)

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