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水俣病・福岡高裁“史上最悪判決”に憤る原告ら 
「命ある限り闘う」

岡田幹治|2020年5月18日4:59PM

3月17日、東京集会で判決の不当性を語る緒方博文さん。(撮影/岡田幹治)

胎児期から少年期に受けたメチル水銀の影響で水俣病になったとする8人が、国・熊本県・原因企業のチッソに損害賠償を求めた訴訟の控訴審(二審)判決が3月13日、福岡高裁(西井和徒裁判長、増田稔裁判長代読)で言い渡された。判決は8人とも水俣病に罹患したとは認められないとして、請求を棄却した。

原告は3月23日、最高裁に上告した。逆転勝訴をめざす。

水俣病は、チッソ水俣工場(熊本県水俣市)が不知火海に流したメチル水銀に汚染された魚介類を食べ、中枢神経が侵されて発症する病気だ。

原告団長の佐藤英樹さんら8人は、水俣病が公式確認された1956年前後に不知火海沿岸で生まれ育った男女。当時、不知火海は汚染が深刻化し、沿岸地域で流産や死産が多発し、重度の胎児性水俣病患者が生まれていた。

8人は子どものころから転びやすく疲れやすく、手のしびれ・頭痛・めまい・耳鳴りなどに悩まされてきた。水俣病の典型的な症状である感覚障害があり、成人になってから熊本県に水俣病と認定するよう申請したが、棄却されている。

8人は2007年、水俣病被害に対する損害賠償を国などに求めて熊本地裁に提訴。一審・熊本地裁の判決(14年)は、佐藤さんら3人は水俣病であることを認め、220万~1億500万円の賠償を命じる一方、5人は水俣病と認めなかった。このため原告・被告双方が控訴していた。

控訴審で原告側は(1)阪南中央病院(大阪府松原市)の2人の医師が全員を水俣病と診断している、(2)居住地や家族の状況などからみて8人がメチル水銀を含んだ魚介類を多食したのは明らかだ、などと主張した。

これに対し被告側は(1)原告らの感覚障害は糖尿病などで説明できる、(2)阪南中央病院の検診は神経内科の診断手法としては一般的でないなどと反論していた。

判決は次のように述べて、8人は水俣病に罹患したとは認められないと結論づけた。

▼8人のうち6人は高濃度のメチル水銀に曝露(体内に取り込むこと)したとは認められない。他の2人は高濃度のメチル水銀に曝露したと認められるが、1959年以降は汚染魚を多食していない。▼原告の自覚症状とメチル水銀曝露との因果関係は証明されていない。原告の感覚障害は水俣病以外の病気が原因である可能性がある。▼阪南中央病院の検査・診断には方法などに問題があり、そのまま採用することはできない。

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