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森友問題、赤木さんの遺書に込められた思い

望月衣塑子|2020年5月8日10:00AM

赤木さんの口癖は「僕の契約相手は国民です」。国民への公僕として仕事をすることに誇りを持っていたのだろう。ところが、改竄を指示された2017年2月26日以降、赤木さんを取り巻く状況は一変する。

手記などによると、赤木さんと部下2人は涙を流して抵抗。上司の管財部長も「(指示に)応じない」と理解を示したが、その後、本省の中村稔(みのる)理財局総務課長(当時)と田村嘉啓(よしひろ)国有財産審理室長(同)から管財部長に“圧力”の電話がかかってきた。

美並義人(よしと)近畿財務局長(現・東京国税局長)が「本件に関して全責任を負う」と発言し、改竄が進められていった。公僕として誇りを持っていた赤木さんは良心の呵責(かしゃく)に苦しみながらも部下2人には改竄をやらせず、一人で被った。

半面、保身に走り国民を欺き、「汚れ仕事」を赤木さんに押しつけた卑怯(ひきょう)な役人たちは揃って出世した。不条理としかいえない。

佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」として証言や調査への協力を拒否したが赤木さんは7枚の「手記」と、改竄の経緯を記したファイルを遺した。この二つを手がかりにすれば、詳細な改竄の実態は明らかになるはずだ。

安倍晋三首相は3月の国会で、改竄事件の再調査を拒否した。もはやこの人に再発防止や原因究明は期待できない。今後も第二、第三の赤木さんが生まれ、犠牲者が出るだろう。

赤木さんの妻が指摘するように、安倍首相や麻生太郎財務相を調査対象にするしかない。だから官僚のみなさんにお願いしたい。調査するための記録・資料は隠してでも残しておいていただきたい。契約者は国民--。赤木さんの言葉を思い出してほしい。

(望月衣塑子・『東京新聞』記者。2020年4月10日号)

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