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東京メトロ売店員、「コロナ」理由の雇い止めに抗議

岩本太郎|2020年5月8日5:18PM

勤務最終日の後呂さんに上司という人物(右)が“酒気帯び”で業務命令。(撮影/岩本太郎)

「コロナ」を口実にした雇い止めや解雇の事例が各地で続いているが、これまで長らく非正規労働者への差別解消に向けて現場で取り組んできたこの方までがその憂き目に遭ってしまった。東京メトロ駅売店「メトロス」店員として13年間働いてきた後呂良子さんだ。彼女を含む非正規の売店員たちがユニオンを結成のうえ売店を運営するメトロコマース(東京メトログループ会社)に闘いを挑んだ様子は、ドキュメンタリー映画『非正規に尊厳を!メトロレディーブルース総集編』(ビデオプレス制作)等で過去にも報じられてきた。

東京メトロの売店員は正社員と非正規の契約社員がいるが、同じ業務でも後者の賃金は前者の半分、1年契約更新で退職金もない。定年はともに65歳だが、今年その歳に達した後呂さんもこれまでの労使交渉の結果、希望すれば雇用の継続が可能となるはずだった。ところが会社の言い分は「コロナの影響で経営の先行きが不透明。人件費を削減したい」というものだったとか。親会社・東京メトロから長らく駅売店の独占的営業を認められ内部留保も潤沢なはずの会社の言い分としては不自然。というよりコロナ禍にかこつけた非正規や労組潰しの意図見え見えな展開で、後呂さんは売店の客に窮状を訴えることを決意。「会社はコロナで人件費削減 私は3月末で失職!!」など、前記の経緯を記したゼッケンを装着しながら勤務最終日の3月30日夜まで仕事先である日比谷線八丁堀駅ホームの売店で働き続けたのであった。

最終日は前記ドキュメンタリーを制作したビデオプレスの松原明さん、さいたま市で給食調理員として働きながらドキュメンタリー『原発の町を追われて』を制作した堀切さとみさん、『毎日新聞』記者の東海林智さん、後呂さんと同じく3月末で雇い止めの非正規の駅売店員女性たちなど、彼女を応援してきた人々が十数人ホームに集まり労をねぎらった。

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