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近畿財務局職員の遺族が国と佐川元理財局長を提訴

粟野仁雄|2020年4月10日7:49PM

【提訴を支援する同僚は皆無】

佐川氏は野党の追及に「森友学園と財務局の交渉記録は残ってございません」とシラを切り続けたが後に文書改竄が発覚。国会の証人喚問では「書き換えがなぜ行なわれたかについては刑事訴追の恐れがある」と答えなかった。赤木さんの妻は「(財務局は)健康状態の悪化を容易に認識し、自殺を予見できた」として国に約1億700万円、佐川氏に「改竄の強制で(夫が)極めて強い心理的負荷を受けることは予見できた」と550万円を求めた。麻生太郎財務大臣は「ご遺族が遠慮してほしいと言っている」と墓参に行かなかったが、遺族は墓参を望んでいた。

大阪地検は「改竄された政治家の関与などは文書の本質的な部分ではなく、売買契約に大きく影響していない」を理由に佐川氏らを不起訴とし、山本真千子特捜部長は栄転した。改竄作業をさせる際、「全責任は自分が取る」と言った美並義人近畿財務局長はその後、口をつぐみ東京国税局長に栄転した。どんな責任を取ったのか。

妻は次の言葉を代理人に託した。「今でも近畿財務局の中では話す機会を奪われて苦しんでいる人がいます。本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局には作っていただき、この裁判ですべてを明らかにしてほしいです。佐川さん、どうか改竄の経緯を、本当のことを話してください」。しかし生越弁護士によると、局内で提訴を支援する職員は皆無という。

赤木さんの公務災害が認められた経緯を知るため妻は同省に開示請求した資料はほとんどのページを真っ黒にされた。自殺から2年後に提訴や遺書の公開を決意したのは赤木さんの三回忌が済んだためという。改竄命令を出された時、赤木さんは妻に「内閣が吹っ飛ぶようなことを命じられた」と語った。赤木さんとご遺族の無念をはらすには真相究明が欠かせない。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2020年3月27日号)

 

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