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宗教者らが再処理工場の稼働差し止め求め提訴

佐藤和雄|2020年4月6日11:53AM

提訴のために東京地裁に入る宗教者たち。(撮影/佐藤和雄)

仏教、キリスト教、神道など宗教を超えた全国の宗教者と信仰者211人が原告となり、日本原燃株式会社の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村)が稼働しないよう求める訴えを3月9日、東京地裁に起こした。中心となったのは「原子力行政を問い直す宗教者の会」で、「3・11」後も、原発の再稼働が続くなど「脱原発」への道筋が見られないことから、初めて提訴に踏み切った。

原告団の共同代表は、真言宗明通寺(福井県小浜市)住職の中嶌哲演氏と、日本基督教団八戸北伝道所(青森県八戸市)牧師の岩田雅一氏。訴状では、宗教者と信仰者が原告となる意味として「教えの根源にある、いのちへの畏敬の念に基づき、いのちを脅かすものを止めることを強く願っている」と説明している。

原子力関連施設の中で、使用済み核燃料の再処理工場に的をしぼり、操業しないよう求めたのは、「原発推進論理の中核である核燃料サイクルの要だから、異議申立ては本質的であり重要」(弁護団の河合弘之弁護士)という。

また、今回の提訴で注目されるのは、憲法が保障する幸福追求権には「人類の一員として次世代に生命をつなぎ、その幸福を実現する権利」という「命をつなぐ権利」が含まれていることを強調している点だ。「再処理工場は、最終処分場の決まっていない高レベル放射性廃棄物を増やし続ける。将来世代へ重い負担を押しつけることから、人格権としての『命をつなぐ権利』を明らかに侵害する」と主張している。

日本原燃は2021年度上期の再処理工場完成を目指しており、原子力規制委員会による新基準の適合性審査が大詰めを迎えている。今回の提訴に対し、日本原燃の報道担当者は「訴状がまだ届いていないのでコメントは控えたい」と述べている。

(佐藤和雄・ジャーナリスト/脱原発をめざす首長会議事務局長、2020年3月20日号)

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