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「慰安婦」報道、東京高裁が植村隆・元『朝日』記者の請求棄却 
西岡力氏の「人身売買論」は肯定せず

佐藤和雄|2020年3月27日11:00AM

3月3日の判決後、東京高裁前で挨拶する植村隆・本誌発行人。(撮影/白谷達也)

「主文、本件各控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする」

東京高裁101号法廷。白石史子裁判長は、小さな声でそれだけを読み上げると、さっと法廷から立ち去った。あたかも何かから逃げるように。

元「慰安婦」の証言記事を「捏造」とコメントされ名誉を傷つけられたとして、元『朝日新聞』記者で『週刊金曜日』発行人兼社長の植村隆氏が西岡力・麗沢大学客員教授と『週刊文春』発行元の文藝春秋に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が3月3日、東京高裁で言い渡された。同高裁は、一審の東京地裁の判断をほぼ踏襲し、植村氏の控訴を棄却した。

改めて訴訟の内容を確認したい。植村氏は1991年8月11日、日本軍によって「慰安婦」にさせられた韓国人女性、金学順さんが、当時の韓国挺身隊問題対策協議会に元「慰安婦」として名乗り出た事実をつかみ、その証言テープの内容を『朝日新聞』で報じた。金さんが記者会見をする3日前だった。さらに金さんが日本政府を相手に訴訟を起こした後の同年12月25日にも詳しい証言を報じた。

西岡氏は、92年ごろから植村氏の報道を「事実誤認」と批判し、97年からは新しい根拠のないまま「捏造記事」「悪質な捏造報道」などと断じてきた。特に『週刊文春』2014年2月6日号で「捏造記事と言っても過言ではありません」とコメントした記事が掲載された後、植村氏や家族にまで激しい誹謗中傷や殺害予告などの脅迫が相次いだため、植村氏が言論で対抗するとともに、司法での救済も求めて15年に提訴した。

裁判の焦点は、西岡氏が植村氏の報道について述べてきた三つの指摘が「真実であるかどうか」もしくは「西岡氏が真実であると信じた相当の理由があるかどうか」だった。真実であったり、真実と信じた相当の理由があったりすれば、西岡氏は免責される。

三つとは(1)金さんがキーセンに身売りされたことを知りながら、権力による強制連行との前提にとって都合が悪いためあえて記事にしなかった、(2)記事を書いたのは太平洋戦争犠牲者遺族会の幹部である義母の裁判を有利にするためだった、(3)金さんが女子挺身隊の名で戦場に強制連行されたという、事実とは異なる記事をあえて書いた、というもの。

高裁判決は(1)と(2)については地裁判決より踏み込み、真実とは認めなかった。一方、西岡氏が当時の韓国紙報道、訴状、月刊誌の論文を読み、「あえて記事にしなかったと考えたことは推論として相応の合理性がある」と述べた。

(3)については植村氏が記事の本文で「『だまされて慰安婦にさせられた』と書いており、日本軍による強制連行ではないことを知っていた」と指摘。「強制連行したと報道するのとしないのでは、報道の意味内容やその位置付けが変わりうることを十分に認識していた」という地裁判決を踏襲し、「意図的に事実と異なる記事を書いたと認められ、真実性の証明がある」と結論した。

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