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北京・世界女性会議から25年
「男女平等達成した国はない」

斎藤文栄|2020年3月23日8:12PM

今年2020年は、1995年に中国・北京で行なわれた第4回世界女性会議から25周年(「北京+25」)だ。北京会議では女性の権利の実現、ジェンダー平等の推進をめざす「北京宣言」及び「行動綱領」が採択され、世界の指針となった。この会議以降、保守化する世界情勢を背景に国連は世界的な女性会議を開催していないが、その代わり、5年ごとにジェンダー平等の進捗と課題を振り返る機会が設けられている。

2020年3月8日にニューヨークの国連本部で開催された第64回女性の地位委員会でスピーチするグテレス国連事務総長。(提供/UN Women/Ryan Brown)

25年という節目の今年、国連女性機関(UN Women)は「(平等を目指す全ての世代)」キャンペーンを立ち上げ、3月9日から20日まで米国ニューヨークで国連女性の地位委員会(CSW)、5月にメキシコ、7月にフランスでフォーラム、9月には国連総会でのハイレベル会合と、次々に国際的なイベントが実施される予定だった。しかし新型コロナウイルス感染拡大防止のためCSWは3月9日のみの開催に縮小。同日に政治宣言を採択した。

政治宣言では、「25年経っても男女平等を完全に達成した国はない」とし、男女格差解消に向け各国の具体的な施策・行動を促す。しかし、保守派の反対する中絶を含むセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)や性的少数者も含めた多様な家族像は入らなかった。米国はトランプ大統領が中絶反対派ゆえに「議論を呼ぶ言葉やコンセプトは宣言から正当に削除された」と「勝利宣言」のような声明を出している。

一方、開催の見通しは不明だが、「Generation Equality(平等を目指す全ての世代)」フォーラムの準備は着々と進んでいる。国連女性機関とメキシコ、フランス政府が共催するこのフォーラムは、メキシコ・シティ(5月7~8日)で開始し、パリ(7月6~10日)で今後5年間に目に見える成果を上げるための具体的・野心的・即効性のあるアクションに取り組む「アクション・コアリション(行動のための連合)」を立ち上げる予定だ。

この連合は、ジェンダーに基づく暴力、経済的正義、身体的自律とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツなどの六つのテーマに関して取り組む、政府や企業、国際機関、市民団体などさまざまな利害関係者が参加するパートナーシップとなる予定。革新的なテーマが設定されており、今後の展開を注視したい。

(斎藤文栄・公益財団法人ジョイセフ アドボカシー・マネージャー、20年3月20日号)

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