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砂川事件国賠訴訟、第3回口頭弁論 
国側が認否を否認

片岡伸行|2020年3月11日9:08PM

2月12日、口頭弁論終了後に司法記者クラブで会見する原告の土屋源太郎さん(左から2人目)と弁護団。(撮影/片岡伸行)

「強固な同盟関係」(安倍晋三首相)にあるはずの米国の公文書の存在を、被告・国側はまたもや「不知」とした。砂川事件国賠訴訟第3回口頭弁論が2月12日、東京・霞が関の東京地裁(大嶋洋志裁判長)で開かれ、重要な争点である米公文書をめぐり日本政府は依然不誠実な態度を取り続けている。

米国公文書館にある複数の公文書には、砂川事件最高裁判決(1959年12月16日)の舞台裏で、当時の田中耕太郎最高裁長官が米国大使・公使と密談し審理経過や判決内容を事前に伝えていた記録が残されている。差し戻し審で「有罪」となった土屋源太郎さんら3人の原告が、公正・公平ではない最高裁判決は無効だとして国に損害賠償を請求している。

昨年10月の第2回口頭弁論で国側は裁判所から公文書の認否を求められていたが、これまでと同様、文書の有無、内容ともに「不知」とする「準備書面(2)」を提出し、認否自体を拒否した。

原告側の武内更一弁護士は「民事訴訟法第2条が定める信義誠実の原則に著しく反する」とし、裁判所が国に調査・確認を命じるよう求めた。原告側はまた、国側が「田中長官の言動は認定できない」とその記録内容を否定していることに対し、公文書に残されている記録と実際の審理経過を詳細に対照した「準備書面(5)」を提出し、「すべて田中長官の言動どおりに進んだ」(原告代理人・細川潔弁護士)と主張した。

会見で土屋さんは「田中の行為そのものが憲法違反で、最高裁判決は“汚染”されていた」とし「公文書に対する扱いは今の『モリカケ桜』と同じだ」と批判した。

あくまでシラを切る国側に対し、裁判長が「調査嘱託を検討する」と述べたことから、国側はいよいよ窮地に追い込まれた。自国の公文書は改竄できても、他国のものまでできない。次回第4回口頭弁論は6月15日に開かれる。

(片岡伸行・記者、2020年2月28日号)

 

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