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元酪農家の長谷川健一さん怒りの告発 「飯舘村では若い人が胃がんで立て続けに亡くなっている」

明石昇二郎|2020年3月5日5:46PM

花子さん「あの人は胃の手術の後、退院したその日からお酒を飲んだんだよ。『胃がなくても、ちゃんと酔っぱらう』って(笑)。でも、そんな人でも亡くなっちゃった」

健一さん「彼の妹も、乳がんが肺に転移して40代で亡くなっている。
60歳で亡くなった人もいるんだよ。これも俺の友達で、やっぱり胃がんだった。肺や大腸、リンパにも転移していて、見つけた時はもう手遅れで、手術もできずに医者から『あと半年の命』と告知されたと、奥さんから聞いた。そのちょうど半年後の19年2月に亡くなった。今月がちょうど一周忌だ。
そう言えば、あのTも胃がんだっけな?」

花子さん「そう」

健一さん「あいつも胃を取って、50代で逝ってしまった」

花子さん「胃がん以外でも、がんで亡くなった人がいっぱいいる。かなり若い人も亡くなった。なんで前田地区は若い人ばっかり亡くなるんだ――って言われたね」

健一さん「俺らと同じ年頃で逝くわけだから、余計に記憶に残るんだ。それも、がんが見つかってから、そんなに時間が過ぎないうちにどんどん悪くなって、逝っちまうんだから。
80歳や90歳でがんになるのは、これはしょうがねえな、天命を全うしたんだな、とも思えるけども、60代だとそうはいかねえべ。
ただ、因果関係はわからない。放射能との関係は。だから皆、諦めている。それに、当事者はなかなかしゃべろうとはしない。『俺はがんだ』って言いふらしてまわるバカもいねえし」

東京電力福島第一原発が凄まじい量の放射性物質を放出してからまもなく9年が経つ。だが、この国では被曝による健康被害は「一切ない」ことにされている。本当にそうなのか。3月6日発売の『週刊金曜日』では、福島県のデータなどを掲載。放射線医学の専門家に話を聞くとともに、「泣き寝入り」しない方法を探っている。

(明石昇二郎・ルポライター。2020年3月6日号より抜粋)

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