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『少年ジャンプ』“ヒロアカ”が炎上 
海外同時展開の留意点とは

岩本太郎|2020年2月28日12:03PM

ITジャーナリスト・篠原修司さんの2月4日付「Yahoo!ニュース」寄稿によれば掲載号が発売される4日前の1月31日には“ヒロアカ”前述部分の韓国語による違法アップロードコンテンツがネット上に存在し、やがて中国のサイトにも転載されたらしい。ほどなく中国での公式配信先である「テンセントコミックス」「ビリビリ漫画」での“ヒロアカ”配信が停止されるに及んだ。

集英社がネット上での事態を把握したのは発売当日の3日。「中国の提携会社からも報告がありました」(同社広報部)といい、社内協議のうえ「お詫び」を公表したそうだ。巨大市場の中国でのかくなる事態はビジネスに甚大な影響を及ぼすと判断したのも無理はない。

ちなみにネット上には今回の騒ぎも「違法アップロードコンテンツによる被害」だと捉える向きもある。だが、前述の通り作者も版元も自らに落ち度があったことを認めている。むしろ厄介なのは、別に海賊版絡みでもなしに同様のトラブルが今後も世界をまたにかけて起きかねないということだ。 たとえば集英社は昨年「MANGA Plus」という海外向けウェブサービスを始めた。これは『少年ジャンプ』などの掲載作品を最新号発売と同時に英語・スペイン語に翻訳して海外に無料配信するものだ。日本と中国・韓国は配信対象外だが、それ以外の全世界では今や日本で店頭に雑誌が並ぶのと同時に最新話が読める。

かつて日本の漫画作品が海外に出るのは雑誌での連載がある程度進んで単行本化された後だった。そのタイムラグを突いて海賊版が海外で出回っていたのだが、こうしたウェブサービスはそれら海賊版の駆逐や、単行本化前の時点でも海外から商談がくるメリットがある。半面、以前ならエージェントなどとの交渉で事前に海外向けに修正された部分が今やそのまま出てしまいやすくなった。

集英社では2008年にも「ジョジョの奇妙な冒険」のアニメ化作品で「コーラン」の一部を制作現場スタッフが知らずに作中の表現に盛り込み「イスラムに対する不適切表現」と受け取られて海外で騒動になった。この時の謝罪文は12年後の今も集英社の公式サイトに掲載されている。海外や外部制作会社など多くのところに作品が広がる中、作者も編集者も歴史など幅広い教養を備えておくことの必要性を今回の“ヒロアカ”騒動は改めて印象づけたと言える。

(岩本太郎・編集部、2020年2月14日号)

 

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