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原子力行政の杜撰な管理実態 
規制委の文書ファイル約1万8400件行方不明

添田孝史|2020年1月21日10:48AM

【わずか10年の文書管理もできず】

規制庁は、発足直後の12年には経産省から引き継いだ142件の公文書ファイルを紛失。また15年には、行政文書の管理状況について、点検監査をしていないにもかかわらず内閣府に事実と異なる報告をしていたことも明らかになっていた。その後も化石文書は放置されたままだったが、17年10月以降、文書管理を強化し、ようやく実態が見えてきたらしい。

更田豊志・規制委員会委員長は11月27日の記者会見で「(行方不明の)数については11月初旬に初めて聞いた」と話した。規制庁は規制委のトップにも、これまで詳しい説明はしていなかったようだ。

「化石文書」は過去の原子力行政の実態を調べるための、とても貴重な資料となる。東京電力福島原発事故を起こした国の責任を明らかにする上でも重要だが、その管理がこれまで信じられないほど杜撰だったことがわかる。

筆者は東電福島原発事故に関して、多くの行政文書を開示するよう請求をしてきた。規制委から「所有していない」として不開示にされたものも多い。しかし大量の文書ファイルが行方不明になっているとすれば、本来はあるはずの文書が不適切な管理のせいで開示されなかった可能性もある。

更田委員長は前記の記者会見で「致し方ないというつもりはないですけれども、努力をした上での結果、現在そうなっている」と述べた。原子力を使うには10万年単位にもなる管理が必要な場面もある。その規制を担当する機関が、最近10年ほどの文書管理もできないようでは、規制当局として最も大切な市民からの信頼を得るのは難しいだろう。

(添田孝史・ジャーナリスト、2020年1月10日号)

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