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MMT理論とアダム・スミス

浜矩子|2020年1月2日7:00AM

「見えざる手」。経済学の生みの親であるアダム・スミスの大著、「諸国民の富の性質とその諸要因に関する探究」、通称『国富論』の中に出てくる。

この表現は、この巨大な本の中のたった1カ所にしか出てこない。だが、『国富論』といえば、あるいはアダム・スミスといえば、経済分野におよそ馴染みがないとおっしゃる方々の中にも、ご存じの向きが多い。

それだけに、独り歩きする中で、尾ひれがつきがちだ。「神の見えざる手」、あるいは、「市場の見えざる手」などという風に変貌していく。だが、オリジナルは、単なる「見えざる手」だ。

この表現を通じて、大先生は決して市場原理がオールマイティだと言っているわけではない。だからこそ、「市場の見えざる手」とは言わないのである。彼が本当に言いたかったのは、「見える手は退去せよ」ということだ。政府や権力の見える手がしゃしゃり出て誘導せずとも、人々はその内なる見えざる手に導かれて世のため人のためになる選択をし、それに従って行動する。大先生はこれを言いたかったのである。

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