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川崎しんゆり映画祭、『主戦場』一転上映 
問題の核心は川崎市の圧力

植松青児|2019年11月22日4:33PM

10月30日の集会後に言葉を交わすデザキ監督(左)と映画祭の中山周治代表。(撮影/植松青児)

川崎市麻生区で10月27日から11月4日まで行なわれた「KAWASAKIしんゆり映画祭2019」で、映画祭を主催するNPO法人KAWASAKIアーツ(以下、主催NPO)が、映画『主戦場』の上映を取り止めた問題は、一転「中止の中止」が決まった。日本軍「慰安婦」論争を扱い、大きな話題を集めた映画だ。

期間中はさまざまな議論が起こった。28日、映画祭上映予定2作品の関係者が、出品とりやめを発表する。29日には映画祭の舞台挨拶で、是枝裕和監督が上映中止を批判する。

30日には、映画祭上映作品の関係者の呼びかけで「オープンマイクイベント」が行なわれる。主催NPOの中山周治代表をはじめ映画祭運営スタッフ、『主戦場』のミキ・デザキ監督や配給会社、150人以上の市民が発言し、3時間ぶっ通しの討論が行なわれた。

そして11月1日夕方、ボランティアを含む映画祭スタッフ60人の意思確認が行なわれ、2日に『主戦場』上映が発表、4日夜に上映された。中山代表は上映を決定するに至った最大の要因は「多方面な人々からの力添え」と述べた。

【上映中止に至る経緯】

では、なぜこのような事態が生まれたのか。

主催NPOの中山代表は当初、10月26日発表の声明で、川崎市から「懸念」を伝えられたことは認めた。この懸念とは、同作のミキ・デザキ監督と配給会社の東風が、一部の出演者から上映禁止と損害賠償の訴訟を起こされたことに対するものだ。しかし、中止を判断した理由は迷惑行為や抗議電話への対応、会場の安全確保が困難なためと説明していた。

だが本当に上映中止の理由は「電凸」や安全面のリスクだけだったのか、川崎市の伝えた「懸念」と映画祭側の「上映中止」決定は無関係だったのか。

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