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ユナイテッド航空解雇事件、控訴審始まる 
一審判決の「重大な誤り」指摘

片岡伸行|2019年11月12日5:26PM

マイクを手に裁判所前でアピールする吉良紀子さんと千田正信さん(左)。(撮影/片岡伸行)

成田―グアム便の旅客数減少などを理由に2016年5月に解雇された日本人客室乗務員が、米国シカゴに本拠を置くユナイテッド航空を相手取り、地位確認を求めている控訴審の第1回口頭弁論が10月11日、東京・霞が関の東京高裁(野山宏裁判長)で開かれた。

訴えているのは吉良紀子さんと千田正信さんら。3月28日の一審判決では、解雇時の吉良さんらの雇用主がコンチネンタル・ミクロネシア航空であることを前提に、整理解雇は有効だと判断した。

しかし、ユナイテッド航空は10年にコンチネンタル航空と合併し「ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス」に名称変更。子会社であるコンチネンタル・ミクロネシア航空はその傘下に入り運航権を返上していた。

同日の第1回口頭弁論では、控訴人代理人の指宿昭一弁護士(暁法律事務所)が複雑な合併経過を図で示して説明し、本件解雇は「ホールディングス傘下の運航再編によるもの」とし、「コンチネンタル・ミクロネシア航空の事情のみで整理解雇の是非を判断したのは重大な誤り」と指摘。労働協約も米国客室乗務員組合(AFA)のみとの締結で、吉良さんらの所属する全国一般・全労働者組合を排除したことも違法だとした。また、意見陳述に立った千田さんは「50代で仕事を失うのは死ねと言うのと一緒」「労使協議によっていずれ同じ条件での乗務が可能になると言われ待っていたが、騙された」とし「私の大切な仕事を返して」などと訴えた。

これに対し、野山裁判長は「雲をつかむよう」「どういう羅針盤で判断していいかわからない」と異例の発言をし、控訴人と被控訴人双方に「日本法と外国法適用の組合間差別などについての関連した判例や文献」「AFAとの労働協約と日本の労働法の違い」などについて次回(12月23日)までに文書で提出するよう求めた。

(片岡伸行・記者、2019年10月25日号)

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