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森友問題、野党が鮮明画像で追及 
国交相発言の嘘、動かぬ事実に

青木泰|2019年10月29日1:02PM

ヒアリングでは国交省の写真資料を解析した鮮明画像が示された。(撮影/青木泰)

森友問題での野党合同ヒアリングが10月2日に開かれた。翌々日から臨時国会が始まる、緊迫した中で持たれたヒアリングだった。

「私が見ました」と、これまで真実を覆い隠していた発言の嘘が明らかになりつつあった。森友問題では値引きの根拠として国が提出した試掘写真資料の偽装を、2月4日には事業者が参議院への回答書で、同27日には国土交通省が国会の質疑で認めていた。それでも国は国交省が提出した試掘報告書の写真資料NO.1(だけ)は間違いのない事実が記載されていると主張した。石井啓一国交大臣(当時)が「私が見ました」と語り、航空局長が「工事関係者による試掘におきまして、3・8メートルの深さまで廃材等が存在することが確認され、そのことをメジャーで示した工事写真を確認した」と述べた資料である。

しかし国が示した写真では、試掘穴の中は暗くて見えなかった。ごみの層が3・8メートルまであったことを証拠だてるものは石井大臣の国会答弁のみ。その真偽に注目が集まったが、入手できた同写真のデジタルデータを濃淡調整し、穴の中が見える鮮明画像にしたところ、何とごみの層が3・8メートルどころか、3メートルにも満たないことが分かった。

これまでのヒアリングでは、その鮮明写真が提出され、国交省の職員は「3メートル以下に見えるか」との簡単な質問から逃げ続けていた。ついに10月2日には「会計検査院も『3メートル以下には認められない』と語っている」と追及された。

質疑は時間切れとなり、国会での委員会審議に持ち越されたが、鮮明写真が示した事実からすれば国交大臣の辞任・議員辞職も不可避だ。だから再任させなかったか。

一枚の写真が示すのは、ただ同然の国有財産の売却は不法だったとの事実だ。後は国会での委員会での事実解明にバトンタッチされたと言えるヒアリングであった。

(青木泰・環境ジャーナリスト、2019年10月11日号)

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