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マンション建設反対の住民宅を防犯カメラで監視

井澤宏明|2019年10月10日10:22AM

名古屋地裁前で「防犯カメラが野放しの日本で画期的な判決」と報告する弁護士。(撮影/井澤宏明)

名古屋市瑞穂区白龍町のマンション建設を巡り、業者が10台もの防犯カメラを設置して建設に反対する住民らを監視したのは肖像権やプライバシー権などの侵害にあたるとして、住民4人が業者に計400万円の損害賠償を請求した裁判の判決が9月5日にあり、名古屋地裁(唐木浩之裁判長)は、そのうち1台のカメラについて、「嫌がらせ的な意図で設置したのではないかと疑われる」として、施主のイワクラゴールデンホーム(同市)と設計・施工した日本建設(大阪市)に対し、原告の会社員・八幡一義さん(45歳)に計5万円を支払うよう命じた。

防犯カメラは住民宅や歩道、公道が映り込むように設置された。判決は、9台の設置については防犯目的を認め、請求を棄却。

一方、八幡さん宅を向いていた1台は撮影できないダミーカメラだったものの、八幡さんが建設現場の騒音への苦情を名古屋市に申し入れた後に設置されたことなどから「嫌がらせ的な意図で設置したのではないかと疑われる」とし、「平穏な生活を害することは理解した上で設置しているから、不法行為に該当する」と結論づけた。

判決を聞いた八幡さんの妻・晴美さん(40歳)は「窓を開けると、カメラがこちらを向いた状態が2年近く続き、カーテンは日中も閉めっぱなし。気持ち悪さや怒りを感じた。1台でも認められたのはうれしい」と語った。

監視カメラの問題に詳しい武藤糾明弁護士は「ダミーカメラで、肖像権侵害は起きていないのにも拘わらず、違法とされることがあるという判断で、画期的だ。住民が『監視されている』と思うのは仕方ないし、設置した側も威嚇目的なので、肖像権侵害に準じて厳格に判断している」と評価する。

このマンションの建設を巡っては、現場監督を突き飛ばしたとして暴行罪で逮捕、起訴された住民の無罪判決が確定している。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2019年9月20日号)

 

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