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収まらない世界経済のリスク

高橋伸彰|2019年8月13日3:55PM

6月28、29日の両日、大阪でG20の首脳会議(以下サミットという)が開催された。先進主要7カ国(G7)に加えEUおよびロシア、さらに中国、インドなど新興国11国が参加するG20が最初に開催されたのは2008年11月、「100年に一度」と評されたリーマン・ショック後の金融危機に各国・地域が一致して対応するためだった。

同危機が1930年代の世界恐慌のような事態に発展しなかったのは、G20に参加した国や地域が内向きにならず、一致して解決に当たったからだと言われている。

だが、蜜月は長く続かなかった。シリアやウクライナをめぐる地政学的な対立に加え、イギリスのEU離脱や米中の貿易戦争などによって各国の協力体制にひびが入り「G20の雰囲気は変わった」(6月22日付『日本経済新聞』)からだ。実際、昨年アルゼンチンで開かれたG20の首脳宣言では、アメリカ第一を唱えるトランプ大統領の抵抗で「『保護主義と闘う』との文言が(中略)消えた」(同上)という。

主流派の経済学者が説く単純な自由貿易の礼賛に与するつもりはないが、保護主義がもたらす貿易の縮小を看過すれば世界経済は深刻な不況に陥るだけでなく、将来の政策協調や共通のルール作りに向けた多国間交渉も頓挫する恐れがある。

今回のサミットに先立ち、国際金融の専門家・河合正弘氏が「最大の注目点は(中略)共同声明で『保護主義に対抗する』との明確なメッセージを示せるか、米中の対立緩和に向けて適切な行動をとるよう両国に働きかけられるかだ」(6月20日付同紙「経済教室」)と指摘した理由も、ここにあるはずだ。

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