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日本が32年ぶりの商業捕鯨再開で失うもの

井田徹治|2019年7月26日5:36PM

水産庁。(撮影/編集部)

国際捕鯨委員会(IWC)から脱退した日本政府は7月1日から31年ぶりに商業捕鯨を再開した。鯨肉の入札も行なわれたが、盛り上がりは一部地域の関係者のみにとどまる。商業捕鯨再開によって国内の鯨肉需要が拡大する見通しもなく、海外からの厳しい目にさらされ続ける状況にも変わりはない。脱退で得られたものの少なさが明確になりつつある。

「なぜ、日本のような経済大国がこれほどの反対の中、ほんのわずかな人々のための商業捕鯨を再開するのか」

「この残念な決定を覆すことはできないのか。日本の環境保護団体はどう考えているんだ」

商業捕鯨再開の前後、筆者のもとには、海外の環境保護関係者から少なからぬ数のメールが届いた。海外メディアからの取材も受けた。

日本政府は、各国政府から公式な批判が少なかったことに安堵し「早くから各国に理解を求めていたからだ」などとしているが、環境保護団体はもちろん、海外メディアの論調は一様に厳しい。

「日本は国際的な非難の中、鯨の虐殺を再開する」(英紙『インディペンデント』)、「日本は国際的な非難にもかかわらず商業捕鯨を再開する」(米・CNN)といった具合だ。BBCも電子版で「国際的な批判をはねつけ日本が商業捕鯨再開」と報道。英紙『タイムズ』は社説で、日本の鯨肉の需要がなくなりつつあることなどを指摘し、再開は「単に国粋主義に基づくものだ」と切って捨てた上で、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の開催国としてルールに基づく国際秩序を日本が訴えても「空々しく聞こえる」と痛烈に皮肉った。

日本に捕鯨産業などと呼べるものはほとんどなく、鯨肉の消費が急減しているのは世界の知るところだ。そんな中、国際機関を脱退してまで商業捕鯨を再開した日本が背負った「評判のリスク」は大きい。

「鯨類については、その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて活動する」との国連海洋法条約65条の規定に関して、日本はIWCのオブザーバーとして関与を続けることでこれをクリアするとの姿勢だが、海外からの厳しい目は、今後、反捕鯨国などから条約違反だとして訴訟などが提起されるリスクが小さくないことを示している。

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