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『主戦場』上映中止求めケント・ギルバード氏ら提訴

土村利夫|2019年7月9日3:20PM

「『主戦場』は偏向ジャーナリズム」と批判する原告団(撮影/土村利夫)

学者らが、旧日本軍の「慰安婦」問題を扱ったドキュメンタリー映画『主戦場』に不当に出演させられたとして、監督のミキ・デザキ氏と配給会社の東風を相手取り、映画の上映差し止めと、合計1300万円の損害賠償を求める訴訟を、6月19日、東京地裁に起こした。原告はケント・ギルバート氏、トニー・マラーノ氏、藤岡信勝氏、藤木俊一氏、山本優美子氏の5名である。

提訴後、原告団は訴訟の内容を説明する記者会見を都内で開いた。原告は、「以前、大学院生だったデザキ氏から、学術研究と卒業制作で使用する目的で取材したいとの申し出があり、原告はこれを合意した。しかしその後、デザキ氏はこの合意に反し、原告に承諾なく商業目的の映画として一般に公開し、原告が有する著作権や肖像権を侵害した」と主張した。

映画の冒頭で、原告に対し、根拠なく、「歴史修正主義者」「極右」「性差別主義者」などのレッテルを貼り、名誉毀損されたことも指摘した。藤岡氏は、取材依頼から上映に至る一連の流れの中で、「最初からデザキ氏が意図的に仕組んでいたものである」と話した。

さらに、「映画では、原告が主張する結論の部分だけが切り取られ、その理由や論拠などが一切、描かれていない。しかも、ディベートの形を採用したというが、原告に反論の機会を与えない構成になっている」(藤岡氏)と語り、藤木氏は「『主戦場』は制作者側の一方的なプロパガンダ映画である」と断じた。

3日の会見で、デザキ氏は「(出演者は)撮影、収録した映像、写真、音声などを私が自由に編集することに合意する合意書、承諾書に署名した」と述べていた。今回の提訴を受け、東風は「訴状を見た上で、適切に対応したい。私たちの大切な映画なので、一人でも多くの人に観ていただきたい」と語った。

(土村利夫・編集部、2019年6月28日号)

 

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