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心の病抱える親の子どもを救え! 
絵本で「生きる工夫と知恵」を

小宮純一|2019年6月28日11:40AM

【孤立したまま苦悩する子どもたちを救うために】

大人には精神疾患について説明があっても、子どもには病名、疾患から起きる症状、生活への影響などが理解できる言葉で伝えられていないことがほとんど。高校学習指導要領の改訂に伴い22年度から使われる高校教科書に精神疾患の記述が40年ぶりに復活する動きが出たが、小学生、中学生には知識すら届いていないのが現状で、偏見や差別は根強い。

このため、不安な気持ちを一人で抱えたり、「親の病気は自分のせいではないか」と考える子もいるという(北野さん)。

精神障がいの子どもへの支援に詳しい佛教大学看護学科教員の田野中恭子さんによると、日本の精神障がい患者は約392万人(14年厚生労働省調べ)で、国民の約30人に1人が受診しており、日本人の5大疾病の一つ。患者の約9割は通院しながら日常生活を送っている(同)。

精神障がいがある親を持つ子どもの割合は「4人に1人(英国、日本は未調査)、子どもの13~19%(独)」などとされるが、その6割は説明を受けていないとの報告もある。

「親の症状に巻き込まれ、それがトラウマ体験となる場合もある。親から世話をされない生活が日常となっている場合もあり、自分だけが特別な家庭で暮らしていると思い込んでいる子もいる」(田野中さん)

新刊『生きる冒険地図』では、遠足の弁当を親がつくれない時は「コンビニで弁当を買って弁当箱に詰め替える」、体操服のゼッケンを親が付けられない時は「木工用ボンドで貼り付ける(洗濯すればはがせる)」などの工夫や、「危険な大人を見分ける方法」などを満載している。

(小宮純一・ジャーナリスト、2019年6月14日号)

 

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